AP通信によると5月3日に独裁政治を敷くニコラス・マドゥロ大統領の転覆を狙い海岸から上陸侵入を試みようとした隣国コロンビアからの傭兵の一団40人の内8人を殺害、34人を拘束し内2人が米国人であるとベネズエラ政府が発表した。
捕まった一人はDEA捜査官
傭兵の一団は首都カラカス北方のラグアイラ州マクトの海岸に3隻の高速艇で近付き、未明に上陸しようとしたが、ベネズエラ軍と警察の特殊部隊に発見され、撃退された。8人を殺害、二人を拘束。その後、既に上陸し、私服に着替え民間人に紛れ込もうとしていた者も含め計34名を拘束した。その内2人は米国人になり、その内一人はDEA(麻薬取締局)の捜査官だとベネズエラは主張している。米政府とDEAは共に関与否定している。殺害された8人の中にはマドゥロ政権を批判していた元ベネズエラ軍の将軍クリベール・アルカラ氏がおり、彼は麻薬の密売容疑でDEAに投降した後に協力して働いていたとされている。
ボートにはアメリカ製の重機関銃が装備されており、軍服、旗、武器が積まれていた。標識からコロンビア海軍に属する船と分かった。
米国のPMCが関与
捕まった2人の米国人はフロリダに拠点を置く元グリーンベレーのジョーダン・グドローの関係者になる。彼は民間軍事会社(PMC)のSilvercorp USAを経営しており、今回の上陸作戦はジョーダン氏が計画したとされている。ジョーダン氏によると捕まった2人は退役軍人になり、イラク、アフガニスタンに従軍経験がある。また、ジョーダン氏はコロンビアの秘密のキャンプで元ベネズエラ軍の脱走兵数十人に対して、マドゥロ打倒のために軍事訓練を行っていた。工作員を徐々に送り込み国内にある軍事基地を攻撃する作戦であったが、本作戦には米政府や軍の支援は一切なかったとされ(表向きは)、資金は民間からの寄付によるものだった。国家を相手にするには資金は十分ではなく、混乱を極めるベネズエラ政府といえど、国家の軍や警察、諜報機関には太刀打ちできず、情報が漏れていたか、監視の網に引っ掛かったかは不明だが、発見され、計画は失敗に終わった。しかし、この上陸作戦は夜間ではなく明るい未明に行われたこと。また、人がいる民家の近くに上陸しており、発見させるリスクが非常に高く、素人で稚拙だったといわれている。
反米左派政権のマドゥロ大統領に対し、米国は2019年から経済制裁を課し、関係は悪化。首都カラカスにあった米国大使館も国外に退去している。
ベネズエラにはロシアが支援しており、ロシア軍の元特殊部隊からなるPMCのワグナーグループの傭兵が駐留している。
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