ロシア軍は最新の極超音速ミサイル”3M22 Tsirkon(Zircon:ジルコン)”の量産を2022年から開始すると1日に発表しました。このミサイルはこれまで、爆撃機、地上、そして、昨年2020年10月には海上からの発射試験を成功させており、満を持しての量産となります。このジルコンとはどういったミサイルなのでしょう?
最大速度マッハ9
ジルコンはロシアが開発する極超音速対艦巡航ミサイル。NATOでのコードネームは「SS-N-33」になります。このミサイルの最大の特徴は超極音速の最大速度マッハ9(9,800 km/h)で飛行することです。これはロシアの開発する対艦ミサイルとしては最速であり、他国の対艦ミサイルの速度を大幅に上回っています。(ちなみに超音速ミサイルは日本や米国を始め各国で開発されていますが、あれらは弾道ミサイルで大気圏外から滑空することで加速させていますが、ジルコンは大気圏内を飛行します。)
固体燃料エンジンを備えたブースターで極超音速に加速し、その後、第2ステージの液体燃料を備えたスクラムジェットモーターで極超音速に加速します。
ジルコンの弾頭重量は300~400 kg、最大高度は30~40km、射程は平均400~450kmとされていますが、搭載する燃料によっては最大1000kmまで伸びます。将来的には1500kmまで射程を延ばすことを計画しています。
艦船からの発射テストに成功
ジルコンは戦略爆撃機Tu-22M3に搭載可能で、地上設置型のランチャーからも発射できますが、対艦ミサイルであるジルコンは基本、艦船に搭載されます。2020年10月にロシア北西部のバレンツ海で行われた発射実験では、アドミラル・ゴルシコフ級フリゲート艦から発射されたジルコンが高度28kmまで打ち上げられ、マッハ8以上まで加速しながら、450km先にある海上の標的船舶に命中させています。
ジルコンは3M-54 Kalibr(カリブル)、P-700 Granit(グラニート)に代わる巡航ミサイルになり、これらのミサイルを搭載する艦船に搭載される見込みです。2021年中には潜水艦からの発射テストなど全てのテストが完了させ、2022年に量産、正式配備されます。
ロシアは既に2019年12月に最大速度マッハ20の超極音速弾道ミサイル「アバンガルド」を地上配備しており、超極音速ミサイルの実戦配備においては世界を先行しています。
ロシアが2019年に配備した「アバンガルド(Авангард)」極超音速ブーストグライドは迎撃不可能な無敵の超音速ミサイルといわれている。最大速度はマッハ27アバンガルドはいわゆる”戦略ミサイル”、”大陸弾道間ミサ[…]