2023年6月に始まった反攻作戦は失敗に終わり、最近は弾薬不足もあり苦戦が報じられているウクライナ軍ですが、西側から追加の弾薬支援が届く春ごろから、二度目の反攻作戦を計画していると言われています。反攻を成功させる上で主力となるウクライナ軍の精鋭部隊を紹介します。
第3独立強襲旅団
Ukraine's 3rd Separate Assault Brigade just shared additional footage of their assault on 🇷🇺's 72nd S of Bakhmut. 3 parts;
— Artoir (@ItsArtoir) May 13, 2023
1st – Infantry dismount from their YPR-765s and begin assaulting Russian positions with grenades, smoke and small arms. At 1:40 an armored group is shown. pic.twitter.com/cAzL3AP72n
第3独立強襲旅団は2022年のマリウポリでの戦いで生き残ったアゾフ連隊、特殊部隊(SSO)の隊員を基幹に同年11月に新編された部隊で歴戦の猛者が集まった精鋭部隊です。その実績と強襲と名がつくように戦闘能力が高く、機動的な部隊として知られ、独立した強襲作戦の実行、敵の防御陣地や施設への急襲、そして防衛拠点の確保が主な任務です。これまでバフムートの戦いだけでなく、南部ヘルソンの戦闘にも参加。2023年9月には東部バフムート周辺の激戦地にある村アンドリーウカを解放しています。2024年2月には東部アウディイウカの戦いでは包囲されつつあった第110独立機械化旅団の撤退の為、戦闘に参加、同旅団の撤退を成功させています。
第82独立空中強襲旅団
82nd Air Assault Brigade training on the British supplied Challenger 2 tank pic.twitter.com/mnZL9Iw2bd
— NOELREPORTS 🇪🇺 🇺🇦 (@NOELreports) February 9, 2024
第82独立空中強襲旅団は空挺軍であるウクライナ空中機動軍の部隊で、同軍に10個ある空中強襲旅団の中で最強と言われています。部隊の創設は2023年3月と新しく、ウクライナ国防省は同旅団の存在を正式に認めていません。この部隊にはウクライナが受け取った西側製歩兵戦闘車の半数が配備されていると言われており、アメリカ製のストライカー装甲車90両、ドイツ製のマルダー歩兵戦闘車40両が配備。その他、イギリスから供与されたチャレンジャー2戦車14両とM119自走榴弾24両が配備されているとされます。同旅団はウクライナ南部のザポリージャ攻略戦に投入されており、南部の重要拠点メルトポリの攻略には同旅団が先陣を切ると言われています。
第10独立山岳強襲旅団
第10独立山岳強襲旅団はその名の通り、山岳作戦のために訓練、編成された部隊で、主に西部のカルパティア山脈の防衛のために2015年に創設されました。2016年には東部でのドンバス紛争にも参加しています。山岳戦に特化していることもあり、防衛戦に強く、ドンバスでも敵からの度重なる攻撃から拠点防衛に成功しています。ロシア軍の侵攻の際も、防衛に参加し、2022年2月にはマリウポリ、4月にはチェルニーヒウ、6月にはセベロドネツク、12月にはバフムート周辺に主要な戦線に配備されたと報告されており、2023年2月にはゼレンスキー大統領からエーデルワイスの称号を、5月には「勇気と勇敢さに対する栄誉賞」が授与されています。現在は東部ルハーンシク州に配備されています。
第47独立機械化旅団
Russian assault with two BMP-3s thwarted by the 47th brigade, both vehicles were destroyed. pic.twitter.com/cyIn6Vnpq6
— 2S7 pion (trost) (@Pion_2S7) March 17, 2024
第47独立機械化旅団は2022年4月に創設され、2022年11月に正式な旅団に指定されました。同旅団にはドイツ製のレオパルト2戦車、アメリカ製のM1A1エイブラムス戦車、M2A2ブラッドレー歩兵戦闘車、M109自走榴弾砲といった西側製戦闘車が多数配備されており、兵士たちは西側によって、もっとも長い時間かけて訓練、準備されており、ウクライナ軍の機械化旅団では最強とされます。2023年6月に始まった南部での反攻作戦の主力部隊の一角でもありましたが、そこでロシア軍の対戦車地雷など、防衛線の前に大損害を出してしまいます。アウディイウカ戦線では包囲された部隊を救出するため、戦闘に参加、撤退を成功させています。
第140特別目的センター
ウクライナ軍の特殊作戦軍は2016年に創設され、その傘下の第140特別目的センターは2017年に創設されました。各国の特殊部隊同様、エリート隊員の集まりであり、少数での直接行動、特別偵察、情報収集、妨害行為、心理戦などをこなします。第140はウクライナ軍に数ある特殊部隊の中で唯一、NATO SOF認証を取得しており、これは非NATO国の部隊としても初の認定です。NATO基準の能力を持つ特殊部隊として、NATO緊急対応軍に参加する権利を持っており、ウクライナ軍特殊部隊の中では最も精鋭と言われています。特殊部隊のため、情報は少ないですが、ハリキウ州の開放など、2022年秋ごろのウクライナ軍の反攻作戦成功の裏には同部隊があったと言われています。
グループ13
最近、目まぐるしい活躍をしているのがウクライナ国防省情報総局(GRU)傘下の特殊部隊「グループ13」です。ウクライナ国防省によるとグループ13はロシア艦艇のハンターです 。この部隊は無人艇の操縦士で構成されており、Magura V5と呼ばれる300kgの爆薬を積んだ自爆無人艇を黒海で操り、次々にロシア海軍黒海艦艇の船を沈めています。今年だけでもミサイル艦イワノヴェッツ、哨戒艦セルヒイ・コトフ、大型揚陸艦シーザークニコフなど少なくとも3隻の艦艇の撃破に成功しており、しかも、全て沈没させています。大型艦艇を1隻も持たず、少数の部隊ながら、ロシア海軍の一個艦隊に大きな損害を与えています。