ヘルファイアの対艦ミサイルタイプ「RBS-17」

Swedish Army

スウェーデンはウクライナの追加支援として、12.7mm狙撃銃AG90(バレットM82)と弾薬、5000基のAT4対戦車無反動砲と合わせて対艦ミサイルの「RBS‐17」の提供を発表しました。「RBS‐17」はあまり聞いたことが無い兵器ですが、これは空対地ミサイル「AGM-114ヘルファイア」のバリエーションの一つです。

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ヘルファイアを地上、水上運用ベースに改修

RBS-17、または”Robot17”と呼ばれこのミサイルはアメリカの空対地ミサイル「AGM-114C ヘルファイア」のバリエーションの一つでスウェーデン軍の求めに応じて、同国の軍需企業ボフォース社(現BAEシステム)が対艦使用にカスタマイズした対艦ミサイルになります。

AGM-114 ヘルファイアミサイル

本来、ヘルファイアミサイルは、主にAH-64アパッチ、AH-1コブラといった攻撃ヘリヘリコプターが敵戦車、装甲車の射程外からスタンドオフ攻撃できるように設計開発された兵器になり、今ではUH-60ブラックホークといった汎用ヘリ、A-10攻撃機やMQ-9ラプター無人攻撃機など幅広い空中プラットフォームで使用されています。しかし、RBS‐17はヘリや航空機への搭載ではなく、艦船や地上の発射ポイントから発射できるようにカスタマイズされ、弾頭は対戦車・対装甲車から対艦仕様により強力になっています。AGM-114Cをベースにしており誘導方式はセミアクティブレーザーと赤外線画像誘導の2つがあります。

ミサイルのサイズはほぼヘルファイアと一緒で、ミサイル単体の重量は48kgとハープーン対艦ミサイルの10分の1以下です。発射機が23kgなので合わせても71kgしかなく、3人で持ち運びが可能です。この機動力がRBSの売りであり、地上はもちろん、高速艇に搭載して、陸と島、他の海岸拠点に迅速に移動、下船して直ぐに展開が可能です。スウェーデン軍では沿岸防衛を担当する水陸両用軍団(AMF)が配備運用しています。

デメリット

ただ、ヘルファイアをベースにしていることもあり、対艦ミサイルとしては射程が短かく、ヘルファイと同じで8kmしかありません。なので、沖合にある敵船の攻撃には向いていなく、沿岸防衛の上陸阻止用途が主になります。または小型船や高速艇に搭載して、射程内まで敵船に近づく必要があります。

また、他の対艦ミサイルと比べるとサイズが小さく、その分破壊力も小さくなっています。ヘルファイアの弾頭重量は8kgになり、RBS-17の弾頭はそれより、少し重いぐらいになるかと思います。それに対し、ハープーンの弾頭重量は221kg、当たり所によっては大型艦でも一撃で撃沈させる威力があります。ウクライナ国産の対艦ミサイル「ネプチューン」もおそらく同等サイズぐらいの弾頭を搭載している思われ、黒海艦隊の巡洋艦モスクワを撃沈しています。ヘルファイアと同サイズのRBS-17にはこのような大型艦を撃沈させる能力はなく、哨戒艇といった小型船が主な目標になります。

しかし、ヘルファイをベースにしていることもあり、戦車といった地上の標的にも有効です。

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ヘルファイアの対艦ミサイルタイプ「RBS-17」
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