アルメニアvsアゼルバイジャンの戦闘、アルメニア軍が2日間の戦果を公表

9月27日から始まった旧ソ連のアルメニアとアゼルバイジャン両国による係争地ナゴルノカラバフの戦闘。双方には民間人を含め多数の死傷者が出ている。今回の武力衝突について、ことさらアルメニア軍側が自軍の優勢をアピールするかのように戦闘の動画や情報をSNSなど使って頻繁に情報発信している。29日には27日、28日の二日間における戦果(アゼルバイジャン軍側の被害データ)を公表した。

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アゼルバイジャン軍は80輌の戦車を喪失

アルメニア統一インフォセンターは、27日(日)から現地時間の28日(月)21時までのアゼルバイジャン軍側の被害の数を上の表の形で発表した。アゼルバイジャン軍は戦闘開始してから2日間で無人航空機(UAV)49機、軍用ヘリ4機、戦車や装甲車などの装甲戦闘車両が80輌、航空機が1機、高機動車両や軽装甲車などの車が82台を喪失した。あくまでアルメニア軍側の集計なので情報の真偽は不明だが、しかし、これが事実ならば、相当の被害である。

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大きな国力差

両国は30年に渡って今回の戦闘地域であるナゴルノカラバフ地域の帰属をめぐって対立を続けている。ソ連時代はソ連の仲介によって、ある程度平穏をたもっていたが、ソ連が崩壊して以降は対立が激化、武力衝突が何度か起きている。この二カ国だが、国力の差は著しい。カスピ海に面するアゼルバイジャンは天然資源が豊富で石油、ガスをトルコやヨーロッパに輸出している。それに対してアルメニアにはこれといった産業がない。GDPでいうとアルメニアの124億ドルに対し、アゼルバイジャンは469億ドルと約4倍の開きがある。アゼルバイジャンの軍事費はアルメニアの国家予算に匹敵し、国力、軍事力ともにアルメニアを大きく上回る。

両国の主力戦車の最新は共に旧ソ連時代のT-90戦車だが、アルメニア軍の30輌に対し、アゼルバイジャン軍は100輌。両軍の主力であるT-72戦車は100輌と470輌と大きな差がある。全面的にぶつかればアルメニア軍が劣勢になるのは明らかだ。

そのような大方の見方を払しょくするためなのか、アルメニア側はアゼルバイジャン軍の車両を撃破する映像を大量にSNSに投稿している。映像を見る限りではアルメニア軍の防衛陣地に進撃するアゼルバイジャン軍と構図になっており、陣地を構え守る側のアルメニア軍の方が戦術的には有利という側面もあるかもしれない。実際、上の動画はアルメニア軍が設置した対戦車地雷によってアゼルバイジャン軍の戦車が破壊される動画だ。

アルメニアと「集団安全保障条約機構」を結び軍が駐留するロシア、アルジェリアを支援するトルコは即時停戦を求めており、これ以上、被害が増えないことを祈るばかりだ。

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