ロシアが2019年に配備した「アバンガルド(Авангард)」極超音速ブーストグライドは迎撃不可能な無敵の超音速ミサイルといわれている。
最大速度はマッハ27
アバンガルドはいわゆる”戦略ミサイル”、”大陸弾道間ミサイル”の一つで、UR-100UTTKh、RS-26 Rubezh、RS-28Sarmatといった超重量ICBMに搭載され、上空数百キロ、大気圏上空まで打ち上げられ加速すると、ICBMからアバンガルドは分離される。
分離したアバンガルドは空気抵抗の低い大気圏の高高度を飛行しながら更に加速し、驚異的な速度で目標に向かって滑空しながら突き進む。その最大速度は”マッハ27(音速の27倍、時速約3万3000キロ)”といわれてる。各国で開発が進められている超音速ミサイルの速度はマッハ5~10前後、アメリカでも、今のところ最大マッハ17であり、史上最速のミサイルだ。この速度の飛翔体を迎撃することができるミサイル迎撃システムはない。またアバンガルドは飛行中も進路変更といった操作が可能であり、移動する物体も標的とすることができ、その速度と操作可能な機動性からアバンガルドを検出することは難しく、仮に検出できたとしても進路を予測することは不可能であり、ミサイル防衛システムは無効化、現在のところをアバンガルドを防ぐ有効な手立ては無いとされている。
6,000km離れた標的に命中
精度に関しても既に実証済みであり、2018年12月にウラル山脈南部のドンバロフスキーミサイル基地で行われたテスト発射で、6,000km先の標的に命中されている。これは、東京~ハワイ間と同等の距離だ。さらにアバンガルドには通常爆薬とは別に最大2メガトン級の核弾頭を搭載でき、戦略核ミサイルとしても使用できるなど非常に脅威となる兵器だ。
2019年12月27日にはアバンガルドHGVを配備した最初のミサイル連隊が正式に戦闘任務に就いており、その配備場所は不明だ。