ブービートラップは紀元前より使われる、戦いにおける戦術であり、武器になる。兵器は日々進化しているが、ブービートラップの基本的な構成は昔から然程変わっていない。戦場で使われた恐ろしいブービートラップを紹介する。
ブービートラップとは
ブービートラップとは戦争、紛争といった争いごとにおいて、迫って来る敵や敵が通るであろう動線に仕掛ける罠になる。基本的には攻められる側、劣勢の勢力が用いる戦術になり、現代ではテロリストやゲリラの常套手段になる。路上に設置されるIED(仕掛爆弾)や地雷、クレイモアもブービートラップの一つになる。”booby”は英語で「馬鹿」や「マヌケ」を意味し、「馬鹿が掛かる罠」という意味もあるが、「最後の罠」という意味もある。簡単に人に捕まるカツオドリの英語名でもある。
過去に使われたブービートラップ
パンジ・スティック
古来より使われる罠になるが、1960年代のベトナム戦争では北ベトナムがブービートラップとして仕掛けていた。竹を用いたトラップになり、竹の先を尖させて地面に設置したり、落とし穴に設置する。それを踏みつけると通常の靴では貫通して足を負傷する。落とし穴やトラップの仕様によっては死に至る。また、先端には毒や動物の糞尿を付けて感染症を誘発した。アジアにおいては竹の調達は簡単で加工しやすい事もあり、よく利用された。金属ではない為、地雷のように探知機で探すこともできない。パンジという言葉自体はインドのパンジャーブ地方の動物用の罠に由来する。
バンブーウィップ
こちらも同じく竹を使ったトラップになり、尖られ竹の槍を竹の先端に取り付ける。竹はご存じの通り非常に折れにくくしなる。その特性を利用して竹を曲げてしならせた状態でワイヤーで保持しておく。敵がワイヤーに引っ掛かるとそれが外れて竹の槍が遅いかかるというもの。その時速は150㎞を越える。竹は昔からトラップしてよく利用される素材になる。
毒ヘビ
トンネル内や建物の中、捜索されるような場所に毒蛇を忍ばせておく。敵が手を伸ばすと蛇は威嚇として噛みつく。噛まれれば毒が体に回り、痙攣、毒によっては死に至る。
ワイヤーグレネード
今でもよく使われる手法だが、手榴弾を固定して安全ピンにワイヤーを繋ぎ道の反対側に張る。ワイヤーに足を引っかけるとピンが外れ起爆する。しかし、これだと起爆まで一定時間かかる。即座に起爆させる方法と予め安全ピンを抜いて起く。抜いても手榴弾の起爆レバーを抑えておけば起爆しないので、レバーをホールドするように空き缶の中に入れる。空き缶は固定されワイヤーは手榴弾に繋がれ、ワイヤーに引っ掛かると手榴弾が缶から出てレバーのホールドが解除され、直ぐに起爆する。
仕掛偽装爆弾
手榴弾といった携行爆弾が主流になった第一次大戦から現代まで頻繁に用いられる方法になる。兵士は戦場で度々、戦利品を漁ろうとする。その習性を利用して兵士が手に取りそうなものに爆弾を仕掛けた。兵士は勝利や戦場に行った記念としてよく敵の旗を持ち帰ろうとする。また、酒や煙草といった嗜好品も人気だ。旗の下や酒や煙草と書いた箱の中に爆弾をしかけ、手に取ったり、箱を開けると起爆する。また、遺体を回収、埋葬する習慣を利用し、遺体の下に爆弾も仕掛けるのも常套手段になる。最近ではイスラム国(ISIS)が撤退する際に拠点にしていた家のぬいぐるみや冷蔵庫に爆弾を仕掛けた。これは敵だけではなく民間人も狙った卑劣なものだ。
カートリッジトラップ
板などで偽装した小さな穴になり、見つけることは難しいトラップになる。穴の中には弾丸が垂直に固定され、その上踏むと弾丸に圧力がかかる。圧力によって雷管が点火する仕組みになっており、弾丸が発射され踏んだ兵士の足を貫く。