イギリス国防省は開発中の指向性エネルギー兵器 ( LDEW ) システム「DragonFire(ドラゴンファイア)」の初の空中目標に対するレーザー発射を達成した動画を機密解除し、公開した。
DragonFire 🔥 is a new laser being developer by @dstlmod for the 🇬🇧 military.
— Ministry of Defence 🇬🇧 (@DefenceHQ) March 11, 2024
Watch its first high-power firing against an aerial target.
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イギリス国防省は1月19日、レーザー指向性エネルギー兵器 ( LDEW ) システム「DragonFire」が空中目標に対するレーザー兵器の高出力発射に成功したことを発表した。試験はヘブリディーズ諸島射場で行われたが、公開されたのは暗闇に伸びる赤いレーザーの写真のみで、その他、実験の様子は一切明かされなかった。しかし、それから約2か月後の3月12日、国防省は機密を公開し、実験の一部始終を収めた動画を公開した。映像ではドラゴンファイアの実際のモジュールと空中の標的を捉えたとされるレーザー射出時の映像が確認できる。
DragonFire
DragonFireは1億ポンド (165億円) の資金で国防科学技術研究所 ( Dstl ) の主導の下、イギリスのLeonardo UK、ミサイル開発に強い多国籍企業のMBDA、防衛テクノロジー企業のQinetiQによって開発されている。特にレオナルドはレーザーターゲティングシステムなど高エネルギー軍用レーザーの国際市場の約60%を占めている。DragonFireはピンポイントでの精度が高く、その命中精度は、1km先の1ポンド硬貨(直径22.5mm)に命中させることができる精度。照射されるレーザーは最大50kwの高出力を誇るが、10秒間のレーザー発射で、ヒーターを約1時間使用した場合の電力に相当、その運用コストは、1回の発射で10ポンド(約1900円)未満となり、対空ミサイルや対空砲をよりも大分安価なコストで空中の脅威を迎撃できる。
過去の実験では航空機やミサイルの迎撃を想定した素材で構成されたドローンの撃墜に成功。ドローンは炎上し、様々な素材で構成された装甲を融解させることに成功し、航空機やミサイル、砲弾に迎撃に有効であることを証明している。また注目すべきはレーザーが減衰するとされる雨天下の中でも迎撃に成功しており、雨や濃霧が多いとされるイギリスの気候でも大幅に威力が減衰することなく使用できる。
イギリス軍首脳らは、DragonFireが将来の戦場に革命をもたらすだろうと述べている。この兵器プラットフォームは、ミサイルやドローンだけでなく、いつか戦闘機、軍艦、極超音速ミサイルを殲滅するために使用される可能性があると述べている。