修理するよりも安い!米空軍は退役したB-1Bランサー爆撃機を復帰させる

修理するよりも安い!米空軍は退役したB-1Bランサー爆撃機を復帰させる
USAF

アメリカ空軍の整備チームは損傷したB-1Bランサー音速戦略爆撃機の代わりに退役したランサーを「飛行機の墓場」から引き揚げ、現役機を修理するのではなく退役機を現役に戻す計画を立てている。

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米空軍のニュースリリースによると、退役し、アリゾナ州デービス・モンサン空軍基地にある「飛行機の墓場」に保管されていたB-1Bランサー爆撃機は第309航空宇宙維持・再生グループから引き上げられ、開封と検査手順を完了し、復元と改修、近代化のためオクラホマ州ティンカー空軍基地に飛行し、装備を整えて現役復帰するためのプロセスを開始した。米空軍は退役した機体の復帰について「”ランスロット”の愛称で知られるこの航空機を再生するという空軍本部の戦略計画室の決定は、戦争に勝利する能力を提供するという空軍物資司令部の使命を支援するもの」と述べている。

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ランサーを退役から引き揚げる必要性が生じたのは、2022年4月にテキサス州ダイス空軍基地でのランサーに起きた事故によるもので、定期整備中に火災が発生、機体は壊滅的な損傷を被った。米空軍は一定規模のB-1Bランサー飛行隊を運用状態にする義務があり、機体修理を試みようとするも、事故調査委員会の報告書によると、火災によりランサーには1500万ドル(約22億円)近い損害が生じた事が判明。修理費が高すぎることが分かった米空軍は修理計画を再考、その結果、損傷した機体を修理をするよりも、退役した機体を復元改修、近代化する方が安上がりになることが分かり、退役したランサーを再就役させる事を決定した。

米空軍地球規模攻撃軍団は2021年9月、17機のB-1Bランサーを退役をさせており、幸いにもあまり時が経っていない退役機があり、しかも、その内4機はあとあと回収可能な状態に保つよう保管されていた。整備チームはアリゾナ州デービス・モンサン空軍基地に保管されていた機体の内、1機を飛行可能な状態に整備し、改修を行い、オクラホマ州ティンカー空軍基地まで機体を飛行させている。

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2030年に全機退役するB-1Bランサー

USAF

B-52戦略爆撃機の後継機として1970年代にマッハ 2 の高高度飛行速度を持つ世界初の可変翼音速爆撃機として開発されたB-1ランサー。その後、マルチミッションプラットフォームとして設計されたB-1Bが1986年に就役しており、現在、運用中の機体は全てB-1Bモデルになる。当初は通常兵器に加え戦略核兵器も搭載できるように設計されていたが、1991年にソ連と調印した戦略核兵器削減条約(START)に基づいて1994年にB-1Bは核作戦任務から除外された。

B-1ランサーは計104機が生産されがた、2021年に17機が退役し、現在、運用状態にあるのは半数以下の45機のみに。機体寿命の平均が34.5年の同機は2000年代に始まった対テロ戦争で酷使され、ほとんどの機体が早期老朽化し、保守性が低下、運用率は半分以下に。2019年に戦闘準備状態にある機体が6機しかないことが判明する。固定翼機と比べ複雑な可変翼を使用していたこともあり、米空軍は可変翼の使用回数を減らすようB-1Bランサー飛行隊に命令するほどだった。B-1Bは2030年代初めには全機が機体寿命を迎える予定で全機退役する予定だ。後継機となるステルス戦略爆撃機B-21レイダーが開発中で2022年12月にプロトタイプが公開され、2023年11月には初飛行を成功させている。

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