中国人民解放空軍のH-6戦略爆撃機が腹部にWZ-8無人偵察機を搭載して飛行する様子を写した画像が中国国内のSNS上で拡散し、国内メディアでも報じられた。これは中国人民解放軍が爆撃機を無人機の母機として運用計画している事を示すものである。
Wo…. H6+WZ8 pic.twitter.com/xZFM6EQ7HC
— 彩云香江 (@louischeung_hk) April 19, 2024
WZ-8無人機を搭載するH-6戦略爆撃機がいつ、どこで撮影されたものかは分かっていない。これがテスト飛行なのか、既に実用化レベルなのかも不明で、搭載されたWZ-8が実際にH-6から空中射出されて飛行したのかも分かっていない。しかし、中国空軍がH-6戦略爆撃機に無人機の搭載を計画している事は以前から言われていた。そもそも、WZ-8自体が大型機に搭載、空中発射することを前提としている。
WZ-8
WZ-8は空軍の偵察用高高度超音速無人航空機になり、2019年10月1日の中華人民共和国建国70周年記念の軍事パレードで初めて公開された。中国ということもあり、スペックの詳細は明かされていないが全長は11m、翼幅は5mと中型サイズのデルタ翼の無人機になり、全面黒色塗装で流線形のボディからステルス機とされる。”高高度超音速”とあるようにロケットエンジンを搭載、最大速度マッハ3以上で高度30kmを飛行、航続距離は2400kmになり、中国本土から台湾、そして日本の南西部を偵察する上で十分な飛行能力を有する。ステルス機で高高度を滑空飛行するのでレーダーに探知されにくく、長時間の旋回飛行が可能で偵察衛星の周回を待たずに、かつ衛星よりも詳細な情報を収集できるとされる。
難点としては単独離陸ができない点で、飛行するには飛行高度と飛行速度まで運んでくれる母機が必須になる。なのでもとより、H-6など大型機に搭載することを前提にした機体だ。ただ、それはWZ-8の運用範囲が機体自体の航続距離に縛られないと言う事にもなる。なお、単独着陸は可能だ。米諜報機関は2023年にWZ-8が人民空軍に配備が始まったと述べている。
H-6
H-6戦略爆撃機は中国唯一の爆撃機でソ連のTu-16 爆撃機をベースに1968年に開発された。戦略爆撃機、空中空輸機、偵察哨戒機、電子戦機と様々な派生モデルが出ており、これまでに何度か近代化改修が施され、戦略爆撃機としての最新モデルはH-6Nになる。H-6Nは空中給油と空中発射巡航ミサイルの搭載を可能にするために大幅に再設計されたバージョンで、精密誘導弾を使い、長距離スタンドオフ空中攻撃能力を有するとされている。航続距離は6000kmでペイロードは12トンになり、最大2機のWZ-8が搭載可能とされている。現在、中国は次期戦略爆撃機としてステルス機のH-20を開発中だ。