世界3位の軍事力を誇る中国は近年、更に軍事力を高めており、2位のロシアとは肉薄しており、今の勢いのまま推移していくと、現在、圧倒的戦力を誇る米軍に2050年頃には並ぶとの声もある。東シナ海、南シナ海の海洋進出を活発化しており、尖閣諸島で争う日本にとっても中国の軍事力拡大は非常に脅威だ。実際、現在の中国人民解放軍の軍事力はどれほどなのだろうか?Global Firepower(2020)のデータを基に開設する。
兵力‐269.3万人
世界一の人口14億人を抱えるだけあって、兵力の数は多い。しかし、数でいうとインド、ロシア、韓国、ベトナムなどよりも少ない。だが、上の数は現役軍人と予備役を含む数で、現役軍人に限っていうと210万人で、これは世界一の規模をほこる。中国には徴兵制があるが、現状はほぼ志願兵で足りており、ほとんどが職業軍人だ。インド、ロシア、韓国が多いのは徴兵後の予備役が多い点がある。
陸軍
戦車‐3500輌
中国はかつて、ソ連のT-54やT-62をライセンス、コピー生産していたが、80年代以降は、そこで得た知見を元に独自開発している。今の主力戦車は1999年に登場した99式戦車だ。第三世代戦車で、125mm滑空砲を装備。速度に関しては整地で80km/hとこれは各国の主力戦車では最速の速度を誇る。3.5世代モデルの改良型の99A式戦車もあり、戦車の能力は西側にも引けを取らない。第四世代主力戦車を開発中と噂されている。
装甲戦闘車‐33,000台
戦闘装甲車の中で脅威なのが05式水陸両用歩兵戦闘車だ。水陸両用車ながら、戦車並みの105mm砲で武装しており、装弾筒付翼安定徹甲弾 (APFSDS) 、榴弾 (HE) 、成形炸薬弾 (HEAT)、105mm対戦車レーザー誘導ミサイル (ATGM) といった様々な弾頭が発射でき、水上での最高速度は28km/hを有する。米国や日本が採用するAAV7や米海兵隊の最新鋭ACVよりも戦闘能力、速度が優れており、離島の防衛においては非常に脅威な車両だ。
海軍
海洋進出を進める中国人民解放海軍は急速に戦力の拡大、近代化を進めており、海軍力は米国に次いで世界2位の規模を誇っている。
空母‐2隻
中国は長らく空母を保有していなかったが、2012年に中国初の空母を「遼寧(りょうねい)」を就役させた。これは旧ソビエト海軍が1985年に起工し、その後スクラップ状態だった空母Varyag(ヴァリャーグ)を改修したもので、空母としての能力はそこまで高くなく、長い航海は難しいが、近海の東南シナ海で作戦行動するには十分であり24機の艦載機を搭載する。遼寧で得た知見を元に国産空母の開発を進めており、2019年12月には初の国産空母「山東」を就役させている。他に2隻の空母の建造が進んでおり、将来的には原子力空母の開発も進めており、近い将来、米海軍に次ぐ、航空空母戦力を保持するとみられている。
強襲揚陸艦‐2隻
2019年に中国人民解放海軍初の全通飛行甲板を備えた強襲揚陸艦「075型強襲揚陸艦」2隻を進水させている。最大900人の部隊を収容し、デッキには合計4機のヘリコプターが同時に離着陸でき、甲板下には30機のヘリコプターを収容、下部には上陸艇の国産ホバークラフトを収納するスペースを擁する。性能的には米海軍のアメリカ級襲揚陸艦に匹敵するといわれている。現在、海上自衛隊が「いずも型」ヘリコプター搭載護衛艦を短距離離陸垂直着陸機(STOVL)の離発着可能な空母化の改修を行っているが、075型も同様の改修は可能とされている。また既に次期強襲揚陸艦の「076型」の開発が始まっているとされ、これは最初から艦載機の運用を行う前提で開発されている。
[adcode]Photo Battle Post中国人民解放中国海軍は現在、最新の075型強襲揚陸艦2隻を進水させている。火災などがあり就役に若干の遅れは出ているが、就役すれば侵略を続ける南シナ海に配備されるとされている[…]
駆逐艦‐36隻
最新鋭駆逐艦である「055型駆逐艦」は巡洋艦並みの排水量を誇る。ステルス仕様のミサイル駆逐艦でその能力は米海軍の駆逐艦に匹敵、各種能力によっては米海軍の駆逐艦を越えているとされ、フェーズドアレイレーダー含め、索敵能力は米軍より先端をいっている。武装は垂直発射システム(VLS)を主力としており、対空・対艦・巡航・対潜とあらゆるミサイルを搭載している。8隻の建造を予定している。
潜水艦‐74隻
米国、ロシア、イギリス、フランスに次ぐ、原子力潜水艦の保有国で、最新の094型原子力潜水艦は核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載している。能力は今のところ米英仏の原潜よりも低いとされているが、現在、最新の096型原子力潜水艦の開発を進めている。
空軍
戦闘機‐1,231機
戦闘機はかつて、ロシアのコピー品ばかりだったが現在は国産に力を入れている。最新の第5世代戦闘機でも米露と共に世界をリードしており、J-20(殲‐20)の性能は米空軍のF-22、F-35、ロシア空軍のSu-57に匹敵する。中国メディアはF-22はJ-20に勝てないと言っている。J-20は大型のため、艦載機としての運用が難しいが、現在、艦載機での運用を目的としたステルス戦闘機J-31の開発を進めている。
爆撃・攻撃機‐371機
中国人民解放空軍の専用機の主力は1968年に登場したH-6。戦略爆撃機、空中空輸機、偵察哨戒機、電子戦機と様々な派生モデルが出ている。何度か近代化改修が施され、戦略爆撃機としての最新モデルはH-6Nになる。H-6Nは空中給油と空中発射巡航ミサイルの搭載が可能するために大幅に再設計されたバージョンで、精密誘導弾を使い、長距離スタンドオフ空中攻撃能力を有するとされている。現在、次期戦略爆撃機となるステルス性のH-20の開発を進めており、H-6の航続距離は6,000kmだが、H-20は倍の1.3万kmを予定しており、実現すれば太平洋を横断できる。また、中国空軍は無人攻撃機(USV)・ドローンの開発でも先端をいっており、「彩虹」といった大型ドローンや小型の自爆ドローンなど開発を急速に進めている。