ウクライナ軍は河川、湖といった水上で活動する戦闘カヤック「Poloz-M16」を公開した。このカヤックはウクライナによって開発された。
⚡️Testing of the 🇺🇦Ukrainian combat kayak "Poloz-M16"🐍 with the UAG-40 automatic grenade launcher in the Kyiv region. pic.twitter.com/AI8UDqKkzS
— 🇺🇦Ukrainian Front (@front_ukrainian) August 4, 2023
ウクライナ国防省メディアのArmyinformは8月初め、国産の戦闘カヤック「Poloz-M16」を公開した。カヤックは一人、二人、三人乗りのバージョンがあり、従来のカヤック同様、オールを使って推進する。戦闘カヤックと言うように最大の特徴としては船首に装着された擲弾発射器、いわゆるグレネードランチャーだ。搭載されているUAG-40 40mmグレネードランチャーはウクライナのクズニャ・ナ・リバルスキー社によって開発された国産グレネードで発射速度は400発/分、NATO基準の40×53 mm仕様の弾であれば全て発射できる。仕様通りであれば最大射程は2200m、Poloz-M16は水上から対岸に潜むロシア軍陣地を攻撃できるほか、船舶や軽車両に対しても有効だ。
カヤックのメリットは静穏性だ。オールを使って静かに水上を移動、隠密上陸でき、比較的浅い水域でも航行が可能だ。船を上陸させて茂みに隠すこともできる。デメリットとしてはそのスピードだろう。カヤックはスピードが出る「ターボフィン」仕様で全力で漕いでも最高10km/hと言われている。この速度で、もし水上で敵に見つかれば格好の的になり、オールを漕いでいては反撃もできず、逃げるのもままならない。しかし、Poloz-M16にはもう一つ、大きな特徴がある。カヤックには電子モーターが搭載されており、手漕きよりも早いスピードで移動することができる。電動モーターはエンジン音がしないので静穏性にも優れており、隠密ミッションにも最適だ。遠隔操作も可能なので乗員は両手が空いた状態で航行できるので銃を持って反撃することもできる。遠隔操作できるとのことだが、完全無人化できるのかは不明だ。
2人乗りのカヤックには最大480kgの荷物を搭載でき、物資の運搬はもちろん、長期任務も見越して調理用器具、ハンモック、ナタ、小さなテントが装備されている。負傷者も運ぶことが可能だ。ボディは防弾ではないが、霜や熱に強い特殊な素材で作られており、仮に船体を撃ち抜かれても、補修が簡単にできるような設計になっている。
Weeks after "destroying" the Ukrainian bridgehead on the left bank of the Dnipro … the Ukrainian bridgehead on the left bank of the Dnipro is somehow still there and expanding. pic.twitter.com/HObJyGzbjU
— Julian Röpcke🇺🇦 (@JulianRoepcke) August 5, 2023
ウクライナ軍は、東部と南部で反転攻勢を強めており、7月以降はダムの破壊で増水したドニプロ川が干上がったこともあり、渡河作戦を活発化、ウクライナ南部ヘルソン州ドニプロ川東岸にウクライナ軍が橋頭堡を確保したとも報じられている。ここにウクライナ軍が上陸拠点を作れば戦況は大きく変わるとされ、両軍の間で激しい攻防が続いている。Poloz-M16はまだテスト中らしいが、テストが終了次第、ドニプロ川に投入されるかもしれない。