多くの国の軍隊が有事に備えて、膨大な数の弾丸を備蓄している。米軍は年間10億発以上の弾丸を使用している。これは国内備蓄量を上回る弾丸を使用しており、常に新しい弾丸が使用され、備蓄されている。しかし、これは稀で大抵の国では戦争で使用されることは無く、主に訓練でしか消費されない。しかし、訓練だけでは弾丸は然程、消費されない。それでも毎年、大量の新しい弾丸を生産し続け、常に一定数を備蓄して古い弾丸は廃棄処分される。それは弾丸に使用期限があるためだ。
意外と長い使用期限
弾丸は生ものではなく無機物の金属だ。厳密には消費期限はなく、乾燥した暗くて適度な温度環境で錆びや腐食に気をつけて保管すれば100年近く使用できる。では、弾丸の消費期限が100年かといわれるとそうではない。周りの金属よりも火薬が早く劣化して効力を失ってしまう。とはいっても、適切に保管された状態であれば数十年は使用可能だ。そのため、予算が無く大量の弾丸の備蓄を抱える軍は新しい口径の小銃に切り換えたくても弾丸を無駄にしてしまうため切り換えられないという事態が起きることもある。使用期限は設けられており、弾丸メーカーが推奨する使用期限は10年になる。国や環境によって異なるが、だいたい、10~20年を経ると処分される。
火薬が一番弱いのは湿気になる。一度でも訓練で屋外や湿気のある環境に晒された弾丸は優先的に使用する必要がある。自衛隊でも保管する弾丸は定期的に検査を行っている。
仕様期限が切れた弾丸を使うとどうなる
火薬が劣化すると弾丸が不活性化して、トリガーを引いても発射されない事がある。いざ、有事の時に銃が機能しなくなるのだ。しかし、怖いのは弾丸が発射されないことではない。弾丸がチャンバー、バレル(銃身)の中で止まった状態で次弾が発射され、銃の中で暴発することだ。過去には使用期限が切れた弾丸を使って射撃訓練をした兵士が死亡する事件も起きている。使用期限が切れた弾丸は無理に使用せずに廃棄処分される。