ホワイトハウスを護る二重の防空システム

ホワイトハウスを護る二重の防空システム

9.11以降、ホワイトハウスが位置する首都ワシントンDC中央の空は飛行禁止区域に設定されています。飛行禁止空域に入ろうとする航空機には警告が発せられ、命令に従わず、禁止空域に侵入しようものならワシントン各所に設置されているとされる防空ミサイルによって迎撃されます。そして、ワシントンの中でもとりわけ、防空警戒が厳しいのが大統領が住まい、執務を執行するアメリカの政権の中枢ホワイトハウスです。ホワイトハウスに達するまでには2つの防空システムが設置され、二重の防御によって守られています。

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1つ目 NASAMS

ウクライナに提供するホワイトハウスを護る防空ミサイルNASAMSとは
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ホワイトハウス広域を護るのがNational Advanced Surface-to-Air Missile System”こと「NASAMS(ナサムス)」になります。NASAMSにはレイセオン社の空対空ミサイルAIM-120 AMRAAMが使用されています。AIM-120は主に戦闘機に搭載されるミサイルですがNASAMSで初めて地対空ミサイルとして採用されます。ミサイルは、6基のミサイルキャニスターを備えた曳航式ランチャーから発射されます。ミサイルの射程は最大25kmになり、固定翼および回転翼の航空機、無人航空機、および巡航ミサイルを検知、迎撃することができます。NASAMSはワシントン郊外に配置されているとされ、飛行禁止空域に入る不審な飛行体を迎撃します。

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ウクライナに提供するホワイトハウスを護る防空ミサイルNASAMSとは
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2つ目 アベンジャー防空システム

US army

運よく、NASAMSをかわせても次に待っているのがAN/TWQ-1 アベンジャー防空システムです。アベンジャーはもともと防空システムを搭載した移動式の軽車両になりますが、ホワイトハウスの守備には固定据え置きのランチャーのみが設置。ランチャーには2基の4連装ポッドに計8発のスティンガーミサイルが搭載されています。スティンガーは低空を飛行する固定翼機や回転翼機を迎撃することを目的に開発され、1981年に採用された携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)用のミサイルです。高性能なパッシブ赤外線・紫外線シーカーが採用され、目標の熱源を自動追尾する赤外線ホーミングが採用され、マッハ2.2で飛翔、最大4km離れた目標を迎撃できます。アベンジャーにはスティンガーに加え、右側ポッドの下部にはFN M3P 12.7mm重機関銃が装備されています。

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2013年に公開された映画『エンド・オブ・ホワイトハウス』ではホワイトハウスを護るアベンジャー防空システムらしきものが描かれます。劇中ではホワイトハウスに接近するAC-130ガンシップを撃墜するためにホワイトハウスの屋上に設置された防空ミサイルシステムからミサイルが発射されますが、実際にはホワイトハウスの屋上にこのようなものはないそうです。アベンジャー防空システムが設置されているのは地上から見えない、近隣のビルの屋上に設置されており、GoogleMapで設置場所を確認できます。

これ以外にも北アメリカ航空宇宙防衛司令部による広域防空網が敷かれており、身元不明機が空域に近づくことさえ難しく、ホワイトハウスを空から攻撃することはほぼ不可能といえるでしょう。

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