ウクライナに提供するホワイトハウスを護る防空ミサイルNASAMSとは

kongsberg

アメリカはウクライナへの追加支援として、ノルウェーと開発した中高度防空ミサイルシステム「NASAMS」を提供することを発表しました。このNASAMS、アメリカの最重要施設である、あのホワイトハウスを護るためにも設置されているミサイルシステムになります。

米国防総省は金曜日に、ロシアのミサイルによる長距離攻撃の対応するための高度な防空システムと対砲兵レーダーを含む、8億2000万ドルの新しいウクライナの軍事援助を発表しました。この支援に含まれているのが2基の”National Advanced Surface-to-Air Missile System”こと「NASAMS(ナサムス)」と呼ばれる防空ミサイルシステムです。

sponser

NASAMSとは

NASAMSはアメリカの軍需企業Raytheon Technologies社とノルウェーのKongsberg Defenseand Aerospace社によって開発、1998年に運用が始まった中高度防空ミサイルシステムになります。NASAMSにはレイセオン社の空対空ミサイルAIM-120 AMRAAMが使用されています。AIM-120は主に戦闘機に搭載されるミサイルですがNASAMSで初めて地対空ミサイルとして採用されます。ミサイルは、6基のミサイルキャニスターを備えた曳航式ランチャーから発射されます。ミサイルの射程は最大25kmになります。

sponser

レーダーはレイセオン社のAN/MPQ-64センチネルを使用。回転プラットフォームを使用して、360度のを監視。レーダーの最大検出範囲は75km、有効範囲は40km。取得した情報はKongsbergが開発した戦闘管理システムC4Iに統合されます。

ミサイルとレーダーは固定翼および回転翼の航空機、無人航空機、および巡航ミサイルを検知、迎撃することができます。ランチャーやレーダーやモジュール化されており、トラックで牽引、配置場所は選びません。レーダーは電子対抗手段(ECM)および対レーダーミサイル(ARM) に対する高い耐性を備えて設計されています。

kongsberg

NASAMSは”2”と”3”まで開発されており、2019年に登場したNSAMAS3ではAIM-9サイドワインダー、IRIS-T SLS短距離ミサイル、AMRAAM-ER長距離ミサイルと使用可能なミサイルが増えています。ウクライナに提供されるNASAMSのバージョンは不明です。

sponser

ホワイトハウスの空を護る防空システム

アメリカで最も重要な施設であるホワイトハウスには2001年の同時多発テロ以降、二重三重の防空システムが配備されています。その一番外側を護るのがNASAMSです。最初に配備されたのが2005年になり、ブッシュ大統領の2期目にあたる米国大統領就任式でワシントンDCの空域を保護するために、いくつかのNASAMSが配備されました。現在もワシントン周辺には複数のNASAMSが配備、空の脅威からホワイトハウスを護っています。

ロシアによる侵攻が始まってからウクライナには延べ2100発以上のミサイルが撃ち込まれています。これらに対抗するためにウクライナはロシア製のS-300をこれまで使用してきましたが、ロシア製ということもあり、戦争が長引く中でこれを維持するのが厳しくなっています。西側に防空システムに移行することで、補給の心配がなくなり、且つ性能は強化され、防空能力は長期的に強化されることになります。

sponser

Source

https://www.kongsberg.com/kda/what-we-do/defence-and-security/integrated-air-and-missile-defence/nasams-air-defence-system/

https://www.raytheonmissilesanddefense.com/what-we-do/missile-defense/air-and-missile-defense-systems/nasams

sponser
ウクライナに提供するホワイトハウスを護る防空ミサイルNASAMSとは
フォローして最新情報をチェックしよう!