ロシア製のSu-35をキャンセルしたエジプトは米国製F-16の後継に中国製のJ-10Cを選択

ロシア製のSu-35をキャンセルしたエジプトは米国製F-16の後継に中国製のJ-10Cを選択

エジプトは老朽化した米国製のF-16戦闘機の後継に中国製のJ-10C戦闘機を選択した。エジプトは米国との関係を考え、前にロシアのSu-35戦闘機をキャンセルした経緯があったが、同じく米国と敵対する中国製選択したのは何を意味するのだろう。

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エジプト国防省による公式発表は無いが、中国とエジプト、両国のメディア報道によると、両国は今年8月19日に中国の成都飛機工業公司が開発生産する多用途戦闘機J-10Cを調達する関連協定に署名したという。今月5日に閉幕したエル・アラメイン国際空港で開催された第一回エジプト国際航空ショーには中国人民解放空軍が参加しており、最新鋭輸送機Y-20とJ-10Cを展示している。両機ともアフリカ大陸では初披露になり、J-10Cはギザのピラミッド上空を編隊飛行するなど、エジプト国民に大々的なアピールを行っている。

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J-10戦闘機

J-10は、中国の成都飛機工業公司が開発生産する多用途戦闘機。1990年代初頭に初飛行し、2005年に中国人民解放軍空軍で運用が始まった。中国の戦闘機というとソ連/ロシア製の影響を受けたものが多いがJ-10はF-16をベースにイスラエルが米国と共同開発していたラヴィ戦闘機をベースにしている。その後、ラヴィの開発計画は中止。しかし、あろうことかイスラエルはラヴィの開発情報を中国に売却し、F-16用に最初に開発された技術への前例のないアクセス権を中国に与えた。その情報を基に開発されたのがJ-10だ。そのため、外観はラファールやユーロファイターといった西側製戦闘機に似ており、カナード付きのデルタ翼、ノズル付きのエアインテークとアフターバーナーを備えている。エンジンはシングルエンジンで、当初、ロシアのAL-31Fエンジンを搭載していが、後のバージョンでは国産のWS-10エンジンにアップグレードされている。最新のJ-10Cモデルにはフェーズドアレイレーダーが搭載されるなどアビオニクスが高度化されており、J-10Cは第4.5世代に分類され、性能はラファールやF-16V、F-15EXに匹敵すると言われている。模擬戦闘にはなるが、ラファールに勝った実績もある。しかも価格は4000~5000万ドルとされ、破格だ。パキスタン空軍が既に採用しており、エジプトが採用すれば海外顧客としては二か国目となる。

Su-35とF-16Vを拒否したエジプト

egyptian air force

アフリカ最大の軍事力を持つエジプト。空軍は218機のF-16を運用しており、世界で4番目のF-16運用国となっている。イスラエルとの4度の中東戦争でソ連製戦闘機がことごとく撃墜された事を受け、以降は西側製戦闘機に切り替え、1982年に最初のF-16A/Bを調達、1990年代からはF-16C/Dを調達している。以降も定期的に数を増やし、2015年には8機のBlock 52を調達している。現在、40機のF-16A/B、178機のF-16C/Dがあるとされる。この内、F-16A/Bは調達から既に40年以上が経過しており、エジプト空軍はこれに代わる次世代戦闘機の調達を検討していた。

エジプトは当初、F-16を踏襲する形でF-16の最新版であるF-16Vの導入を検討していた。F-16Vは最新のアビオニクスを搭載し、新しいフェイズドアレイレーダーは一度に20個以上の目標を追跡することができるなど第4世代としては最新鋭の機能を有している。長年、F-16を運用してきた実績もあり、F-16Vが最も有力と思われたが、エジプトはアメリカの提案を拒否した。理由は不明だが、安価で高性能が売りだったF-16も改良に改良を重ね、価格が上がっており、エジプトが交渉していた当時のF-16Vの価格が6000万ドル前後される。ちなみにF-16A/Bの価格は1500万ドル前後だったので実に4倍の価格だ。

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イランは支援の対価としてロシアからSu-35戦闘機24機を受け取る
mod russia

F-16Vを断ったエジプトはロシア製の第4.5世代戦闘機のSu-35を選択。2019年3月に総額20億ドルで24機を発注した。しかし、これにお冠だったのがF-16Vを断られた米国だ。米国はエジプト政府にSu-35の購入を控えるように警告。さもなくば、F-16のサポートや武器供与を停止する圧力かけた、F-16はエジプト空軍戦闘機飛行隊の大部分を占めていることもあり、エジプトは米国の圧力に屈し、Su-35をキャンセルした。キャンセル時、既にいくつかの機体は完成していた。エジプトがキャンセルした分はイランに売却されると報道されている。

しかし、Su-35をキャンセルして調達したのが中国製のJ-10Cと言う事であれば、Su-35と同様にアメリカから圧力がかかる可能性がある。米中の関係はここ数年悪化しており、ウクライナ侵攻前の米露関係より悪い。J-10Cの調達をアメリカが黙って見ている筈がない。エジプト空軍はフランスのラファールやミラージュも採用するなど、調達先は多角化しているが、陸軍の主力戦車は1300両のM1A1エイブラムスであり、軍事面はアメリカに依存する部分が大きい。

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ロシア製のSu-35をキャンセルしたエジプトは米国製F-16の後継に中国製のJ-10Cを選択
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