エンテベ空港の7日間｜ハイジャック事件と救出作戦を映画化｜レビュー、ネタバレ

戦争・アクション系の映画に特化して紹介するミリレポ映画レビュー。今回、紹介する映画は2019年に公開された映画『エンテベ空港の7日間』。この映画は1976年6月に起きたエールフランス139便のハイジャック事件の史実を基に描いた映画で、人実が救出されるまでの7日間を描いている。主演はドイツ人のダニエル・ブリュールに『ゴーン・ガール 』のロザムンド・パイク。

ストーリー　　　： 3
戦闘・アクション： 1.5

あらすじ

1976年6月27日、イスラエルのテルアビブから出航し、給油と乗り継ぎのためギリシャのアテネ国際空港に着陸したフランス、パリ＝シャルル・ド・ゴール空港行きのエールフランス139便が離陸直後にテロリストにハイジャックされた。ハイジャックメンバーはドイツ赤軍のヴィルフリート（ダニエル・ブリュール）とブリギッテ（ロザムンド・パイク）にパレスチナ解放人民戦線（PFLP）の二人の計四人。パレスチナ解放を目標に掲げる彼らは50万ドルと捕まっているパレスチナゲリラ53人の釈放を要求する。航空機はリビアのベンガジにあるベニナ空港で給油を行いイギリス人の妊婦（妊婦と嘘をつく）を解放、その後、テロリストの指示でウガンダのエンテベ国際空港に着陸した。でこで出迎えたのはウガンダのアミン大統領。ウガンダは表向きは仲介という立場であったがアラブよりで反イスラエルに転じ、イスラエルへの協力を拒否し、テロリスト側を警護した。人質たちは空港でイスラエル人（ユダヤ人）とそれ以外に分けられる。イスラエル人以外は解放されるが、パイロットと客室乗務員は最後まで乗客を見守る必要があると残る。人質を監視するヴィルフリートは人質と心を通わせるなど優しい側面を見せるが、同士で親友のマインホフを失っていたブリギッテは使命を果たすため非常に振る舞う。一方イスラエル政府は人質救出のために着々と準備。 ウガンダの協力を得られない国防軍は特殊部隊サイェレット・マトカルを４機のC-130 ハーキュリーズ輸送機に乗せて極秘裏にエンデベ空港に派遣、アミン大統領の車を装った黒いメルセデス・ベンツ600と護衛車で空港に近づき奇襲するサンダーボルト作戦を立案。ハイジャックから7日後の7月3日、作戦が開始される。

エンテベ空港の7日間(字幕版)

ストーリー　レビュー

物語はハイジャック当日から救出までの7日間を7日刻みで物語は流れ、ドイツ人のヴィルフリートとブリギッテの二人のテロリスト目線を中止に描かれている。二人の犯行に至った動機がイスラエルのパレスチナに対するナチズムに対してドイツ人が抵抗するというのが非常に皮肉だ。この二人を中心にイスラエル政府と特殊部隊メンバー、乗務員（機関士）といった様々な視点から描いているが、特殊部隊メンバー、乗務員の描写は浅く、特に必要な無かったので思ってしまう。それよりもテロリストやイスラエル政府の心情や動きをもっと深堀して欲しかったし、なにより救出作戦をもっと細かく描いて欲しかった。
時折、イスラエルの現代舞踊が通り織り交ぜられているのだが、そこが謎だった。特に最後のクライマックスはその踊りと救出作戦が織り交ざって、正直邪魔だった。一番の見どころでだったのに訳が分からなくなってしまった。

戦闘　アクション　レビュー

クライマックスは救出作戦が始まる7日目なのだが、期待していた戦闘の描写は非常に少ない。この戦闘でイスラエルの英雄とされ、ネタニヤフ首相の兄で隊長のヨナタン・ネタニヤフ中佐が亡くなっているが、扱いは小さい。人質３名がイスラエル兵の誤射によって亡くなっているがそこの描写は一切ない。ウガンダ兵は40名ほど亡くなっており、激しい銃撃戦があったことが想像できるが、そこの描写もほとんどない、攻撃開始から人質を救出して離陸するまで53分あるのだが、映画ではわずか数分だけ。映画の趣旨としては救出作戦よりもそこまでの過程を描きたかったのであろう。

銃器に関しては時代背景からクラシックな銃が多く登場する。テロリストが使うのはトカレフ、ドイツ人らしくワルサーP38も登場する。ライフルはAK-47でウガンダ兵も使用しているが、イスラエル兵もAK-47、ストックが折り畳めるAKS-47を使っていた。イスラエルが生んだベストセラーIMI Uziも登場する。