戦闘員不足のワグネルが囚人に説明した新たな条件や待遇、しかし、ロシア軍はワグネルを切り離したい

戦闘員不足のワグネルが囚人に説明した新たな条件や待遇、しかし、ロシア軍はワグネルを切り離したい

ウクライナ東部バフムトの戦線で多大な犠牲者を出したロシアの民間軍事会社ワグネル。これまでの死傷者は3万人を超えるとされ、最大4、5万人いたとされる戦闘員の内、残っているのは1万人以下と言われています。ワグネルの戦術は訓練も装備も未熟な囚人兵を敵陣に突撃させる、人命を顧みない無謀な人海戦術が主なため、戦闘員の不足は致命的です。そんな事情もあってか、ワグネルのトップであるプリコジンは新たな囚人兵の徴集に動いているとされ、プリゴジン自ら刑務所に赴き、囚人にウクライナへの戦闘への参加を呼びかける動画が公開されました。そこで彼が語った、ワグネルの一員としてウクライナへの戦闘に参加する条件とはどういったものだったか紹介します。

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処刑となる3つの罪

プリゴジンは囚人たちにウクライナにいる間はロシアの法律は適用されないと語り、その上で即時処刑につながる3つの大罪を述べました。

1.脱走・投降

2.アルコールと薬物の使用

3.民間人に対する略奪

理想的な候補者

プリコジンは理想的な候補者としていくつか条件を述べました。年齢は30~45歳、強く自信に満ちた複数の有罪判決を受け、既に15年以上服役しており、まだ15年以上の刑期が残ってるもの。または殺人による複数の有罪判決。警官や刑務官を殴打した経験がある場合はさらに良いとも述べています。

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対象外の囚人

理想的な候補者に対し、募集対象から外しているのが麻薬中毒者や小児性愛者、刑務所内で強姦を行った者、またはされた者です。ただ、した者については別途、部隊を作るという話もあります。

待遇

給与は月額200,000ルーブル(日本円で約36万円)。6か月間、戦闘に参加すれば、刑期の残りに関係なく、その後、恩赦が与えられ、自由の身となります。戦死した場合、事前に指定された近親者に500万ルーブル(日本円で900万)が支払われます。

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プリコジンは囚人に対する説明でウクライナに行く囚人100人のうち 10人から15人が戦死、約20人が負傷するが、そのうち15人は回復すると述べています。つまり、8割以上が生き残り恩赦を得られる計算ですが、もちろん、これは嘘です。統計的にみれば囚人兵の生存率は僅か数%しかなく、ほとんどが戦死します。もちろん、囚人がこれを知る術はありません。真実を告げれば、刑期が数年以下の囚人のほとんどは応募しないでしょう。

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一応面接は行われ、30秒~3分程度で行われます。選ばれた者は、2週間後に飛行機でワグナネルの基地へ出発、そこで毎日20時間の訓練を受け、ウクライナの最も過酷な前線に派遣されます。

プリゴジンは最後にロシア軍の無能ぶりを語り批判しています。しかし、ロシア軍トップのヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長やセルゲイ・ショイグ国防相をも批判する彼の態度にロシアの上層部は眉を顰めており、その批判が政府、プーチン大統領に向くことを恐れ、最近は彼の影響力を削ぐような動きを見せています。ワグネルがこれまで主導してきたバフムトの戦線では一部でロシア軍がワグネルの代わりに戦場を引き継いでいます。囚人兵の募集に関しても、イギリス国防省の分析では以前と比べ半減、募集を一時停止したとプリゴジンが語ったとの情報もあります。

数千人、数万人規模で囚人兵を集めることは難しくなっており、ワグネルはこれまでのような人海戦術での戦い方はできなくなるかもしれません。プリゴジンは先日22日には、ロシア軍がワグネルへの弾薬の供給を拒否し、ワグネルを崩壊させようとしているとして、軍の上層部を批判し、ロシア国民に向けて、ワグネルに弾薬を提供するよう働きかけて欲しいと懇願するなど、戦闘員だけでなく、弾薬不足にも陥っています。これらの話が事実だとすれば、ロシア軍は完全にワグネルを切り離しに掛かっているのかもしれません。

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