米軍は電磁レールガンの開発を中止するかもしれません

米軍は電磁レールガンの開発を中止するかもしれません
Photo by John Williams

次世代兵器として開発が進められている電磁砲”レールガン”。この分野で先行していたアメリカ海軍ですが、約16年間、5億ドルの研究開発の後、米海軍はレールガンプログラムを終了する準備をしているようです。2022会計年度の軍事予算申請で、米海軍はレールガンプログラムの新たな資金提供を要求しませんでした。これは何を意味しますか?もしかすると米軍はレールガンの開発から撤退するかもしれません。

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レールガンとは

レールガンは従来の銃や大砲とは大きく異なります。通常、銃や大砲という火器は装薬を使い、薬室の中で点火され爆発する火薬の燃焼ガスの強力なエネルギー(圧力)によって弾丸を銃身、砲身から押し出します。弾丸はそのエネルギーを得て、時には音速を超えるスピードで弾道を描きます。レールガンではこの装薬を使いません。火薬と圧力の代わりに電気と磁力(合わせてローレンツ力という)を使用します。導電性を持った2本のレールの間に同じく送電性のある弾丸(金属弾)をセット、レールに電力を流すと電磁場が発生し、電磁力の力によって弾丸を押し出します。通常の装薬式の弾丸よりも初速が早く、その分、威力も高く、射程も長くなります。装薬が要らないため、弾丸自体を小型化できます。飛距離や威力は電流の量で調整が可能です。これまでの砲火器に代わる未来の砲として期待が寄せられていました。

世界で初めてレールガンを開発した米海軍

アメリカ海軍は2005年に世界に先駆けレールガンの研究開発プログラムを開始、イギリスのBAE Systemsとゼネラル・アトミックス(GA)の2社と協力してプロトタイプを開発。2017年には35ポンド(約15.8 kg)の砲弾を発射し、初速はマッハ5.8に達し、数百発の射撃に耐えられるバッテリーの開発に成功します。米海軍の目的はズムウォルト級ミサイル駆逐艦に搭載して最大100マイル(160km)の範囲で、さまざまなターゲットを攻撃したり、艦船や海岸から侵入してくる航空機やミサイル、ドローンに対抗できるレールガンを開発することでした。米海軍は当初、2016年にプロトタイプのレールガンを艦上で試射することを計画していましたが、その後、このスケジュールは繰り返して遅延しており、2025年までと大幅にずれ込んでいました。レールガンのデメリットとして25メガワットという莫大な電力が必要になります。この電力を生成できる艦船は今のところズムウォルト級駆逐艦だけです。同艦は当初32隻の建造を予定していましたが、高価なため3隻しか生産されていません。費用対効果悪いところが開発を遅れさせている原因の一つでもあります。
この間にロシアや中国、インド、トルコもレールガンの開発を進め、中国は2018年に実際に艦に搭載するなど、一番開発が進んでいます。

超音速ミサイルの台頭

レールガンの開発が遅れる間に世界の兵器技術は進歩。特にミサイルにおいては超音速が主流になりつつあります。ロシアは最大速度マッハ9を誇る極超音速対艦巡航ミサイル「ジルコン」やマッハ27の弾道間ミサイル「アバンガルド」、中国も「東風-17」など超音速ミサイルの開発、配備を急速に進めています。これらを迎撃するのにレールガンの初速マッハ5~7は心もとなく、100マイルの射程では外せば終わりです。超音速兵器に対抗するには超音速兵器が必要です。レールガンよりもそれに対抗する超音速兵器の優先順位が高くなります。

2021年5月28日に発表された米海軍の2022会計年度予算案には、レールガンの研究開発に関連する2つの項目にはゼロが並んでいました。しかし、2021会計年度に議会が追加した追加資金の目的を説明する別のセクションによると、「レールガンの技術と得られた知識は文書化、保存され無期限プロジェクトします。レールガンのハードウェアは、潜在的な将来の使用を容易にするために、その持続可能性を最大化するために再評価・再投資されます。」と記載されています。

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Source
https://www.naval-technology.com/comment/railgun-potentially-cancelled-went-wrong-us-superweapon/
https://www.military.com/daily-news/2021/06/04/it-may-be-end-of-line-navys-hypervelocity-projectile.html
https://www.thedrive.com/the-war-zone/40875/the-navys-railgun-looks-like-its-finally-facing-the-axe-in-new-budget-request

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