BAEシステムズは、8月31日、新しい多用途装甲車両(AMPV)の量産版を米軍に正式に納入しました。近い将来、これが米軍で最も広く一般的に運用される装甲車両になる計画です。AMPVはベトナム戦争から60年に渡って使用されていきた装甲兵員輸送車M113ファミリーの後継となります。
M113の後継車両
ベトナム戦争から運用が開始されたM113(写真上)はコストも安く、簡素な外観と設計は改良しやすいという利点があり、米軍の数々の戦闘に参加していきました。しかし、装甲が薄く、地雷に対して脆弱。イラク、アフガニスタンで路上に設置されたIED(即席爆発装置)に対してもろく、一番安全な場所は車両の上といわれるほどで装甲車ながら紛争地域での運用において兵士の命を守る十分足る能力を持ち合わせていませんでした。そのため、1980年代からは前線での運用はM2ブラッドリー戦闘車(写真下)に置き換えられM113は後方任務が主になります。
タミヤ 1/35 No.40 アメリカ陸軍 M-113 装甲兵員輸送車 プラモデル 35040
タミヤ 1/35 No.132 アメリカ陸軍 M2ブラッドレー 歩兵戦闘車 プラモデル35132
低コスト・汎用性の高い装甲車両
AMPVは機甲旅団戦闘団(ABCT)のM1エイブラムス戦車、M2ブラッドリーともに作戦行動できる装甲車両として2014年に開発プログラムが始まります。2015年には2,897台の製造契約がなされ、今回納入されたのは初回量産版です。
AMPVはM113と同じ低コスト、高い汎用性を持ち合わせています。M2ブラッドレーの車両コンポーネントを流用して開発費を抑え、部品、メンテナンスを共通化させています。兵員輸送車、自走迫撃砲、戦闘指揮車、救急車、医療処置車とといった5つのバージョンを持ちM113の持っていた高い汎用性も完全にカバーします。