フランス・ダッソー社が嬉しい悲鳴!ラファールが大人気で納期間に合わず

フランス・ダッソー社が嬉しい悲鳴!ラファールが大人気で納期間に合わず
NATO

フランスの軍需大手企業ダッソー社が開発生産する戦闘機「ラファール」が現在、世界中で人気で納期が間に合わないという、同社にとっては嬉しい悲鳴が起きている。

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ビジネスインサイダーの報道によると、ロンドンのシンクタンク国際戦略研究所(IISS)はフランスのダッソー社が開発生産する戦闘機「ラファール」の”受注残”が最大値に達したと発表した。”受注残”とは注文を受けているがまだ納品できていないものを指す。ダッソー社は正式注文を受けてから3年以内、つまり36か月以内にラファールを納品することをセールスポイントに海外に営業している。しかし、現状、工場の生産キャパを上回る勢いで注文が殺到しており、この納期期限が守れない状況に陥る可能性が高い。IISSはダッソー社のラファールの注文残は228機に膨れ上がったと評価している。それに対し、現在、ラファールの年間生産機数は15機前後、需要を満たすため、これを増やすことを計画しているが、それでも足りない事が今後、予測される。

現在、フランス、エジプト、ギリシャ、インド、カタール、クロアチア、アラブ首長国連邦、インドネシアの8カ国がラファールを採用し、新規発注、または計画している。2026年から2033年の8年間にかけてダッソー社はフランスに42機、インドネシアに42機、アラブ首長国連邦に80機、エジプトに10機の計174機を納入する必要がある。つまり、年間22機ペースになる。現在、ダッソー社は年間15機の生産を目標に掲げているが実際は13機に留まっており、2024年も15機生産できるかは不透明だ。ギリシャは2021年1月に発注したラファール6機のうち最後の4機と、2022年初めに発注した追加の6機をまだ受け取っていない。2021年1月に注文した機体は、発注から既に36か月以上経っている。そう考えると工場は既に逼迫しているが生産数を増やすことができていないことが分かる。

ただ、過去、ダッソー社はエジプト、インド、カタールが納入を待っていた時期に年間20機以上の生産を実現していたことを考えると、2026年までに年間20機以上の生産を達成することは可能とIISSは見ており、最大30機も見込めると分析している

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なぜ、ラファールが人気なのか

ラファールが人気なのは、もちろん、ロシア・ウクライナ戦争の影響が大きく、安全保障状況が大きく変わった事で、各国は戦闘機の更新と増強を進めている。ラファールは1980年代から90年代にかけて開発され2000年から運用が始まった多用途戦闘機で、第4世代++にも分類される新鋭戦闘機。F-35のような第5世代ステルス戦闘機ではないが、それよりも安価で高性能だ。それに最新鋭機のF-35はアメリカの同盟国であるなど購入できる国は限られ、インドやインドネシアなど中立的な立ち位置の国では購入することは難しい。そこの隙間をフランスは狙い、シェアを拡大している。

ドイツの反対でサウジにユーロファイターを販売できずで英国の生産ラインが閉鎖か
ユーロファイター・タイフーン(NATO)

また、ラファールのライバルとなるユーロファイター・タイフーンがドイツの横やりで販路を拡大できていない事がラファールの人気に繋がっている。ユーロファイターはイギリス、ドイツ、イタリア、スペインの4カ国による共同開発で2003年に運用が始まった戦闘機だが、ユーロファイターの開発計画には当初、フランスも加わっていた。しかし、互いの要求が折り合わず、フランスが脱退、独自に開発したのがラファールになり、ライバル関係といってもよい。

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その、ユーロファイターを中東サウジアラビアが48機求めていたが、昨年、7月、ドイツのショルツ首相はこれを断った。サウジアラビアの人権状況を憂慮してのことだ。既に生産元のイギリスのBAEシステムズとサウジアラビアは覚書を結んでいたが、これが白紙になった。ユーロファイターの部品の3分の1はドイツ製で、ドイツの承認なしでは販売できない。そのため、サウジアラビアは代わりにラファールの購入を検討しているとされ、フランスも受注に自信を持っている。トルコもユーロファイターの購入を検討していると報じられていたが、ドイツとトルコはシリア、クルド問題など巡って関係が悪化しており、結局、トルコはアメリカからF-16戦闘機の最新バージョンBlock70を購入している。ユーロファイターは4か国の共同開発ということもあり、販売には4か国の同意が必要だ。その点、ラファールはフランス単独で判断できるのも大きく、また、バージョンアップなどの改修も容易で拡張性も高く、現在はタイフーンよりもラファールの方が性能は高いとされる。

ラファールはマクロン大統領が自ら売り込みをかけるなど、国家戦略として販路を拡大している。昨年11月にマクロン大統領は中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンを公式訪問して、ラファールの売り込みをかけたとされており、「カザフスタンがラファールを購入する」という報道があったなど、今後も売り上げを伸ばすかもしれない。ダッソー社にとっては今後も嬉しい悲鳴が続くかもしれない。

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