フランスのミラージュ2000‐5F戦闘機は年末にウクライナに納入予定!対地攻撃能力強化中

フランスのミラージュ2000‐5F戦闘機は年末にウクライナに納入予定!対地攻撃能力強化中
NATO

フランスがウクライナへの供与を表明しているミラージュ2000-5F戦闘機は年末ごろに最初の機体が納入される予定であり、現在、パイロットと整備士の訓練、対地攻撃能力を強化する機体改修を行っている。

sponser

フランスのマクロン大統領は今年6月、ウクライナに同国のダッソー社が開発生産したミラージュ2000-5F戦闘機を供与する事を発表した。この時点では、具体的なスケジュールや機数は明かされていなかったが、フランスメディアの報道によれば、年末には最初の機体がウクライナに納入され、機体数は6機予定しているとされている。パイロット訓練については発表の時点で夏から開始するとマクロン大統領は述べており、訓練期間はパイロット経験がある上で6か月間を予定。つまり、今年6月から訓練を開始していれば12月までには訓練が終わり、機体の納入予定である年末に間に合う。発表してから、機体の納入、パイロットの訓練が早いので、発表の数か月前から既に両国間で供与、訓練スケジュールの調整は済んでいたのであろう。

sponser

対地攻撃能力強化

ミラージュ2000はフランスの軍用機メーカー「ダッソー 」社が1970年代に開発した第4世代のマルチロール戦闘機。能力的にはウクライナに供与されているF-16に引けを取らないとされている。1978年に初飛行を行い、フランス空軍の50周年にあたる1984年に初期量産型のミラージュ2000Cがフランス空軍に就役した。2007年に生産が終了するまでに約600機が生産され、インドやUAE、台湾などに輸出されている。ウクライナに供与されるのは初期モデルのミラージュ2000Cを1990年代に近代化改修したミラージュ2000-5Fになる。コックピットのディスプレイのほとんどを大型多機能ディスプレイに置き換え、ターゲットポッドやさまざまな誘導式空対空兵器を使用するためにインターフェイスをアップグレードし、MICAミサイルに誘導情報を提供するレーダーをアップグレードしている。これにより最大6発のMICAミサイルを同時にターゲットに発射できるようになった。この新しいレーダーはルックダウン/シュートダウン能力を備えており、空対地、空対空、空対海作戦が可能だ。

sponser

ミラージュ2000の基本設計は迎撃戦闘機であり、ミラージュ2000‐5Fも対空ミサイルの運用能力を強化するなど空対空戦能力が強化されたモデルだ。しかし、その性能は1990年代の物であり、レーダー探知距離は約50~80kmという比較的短い距離でしか機能しない。ロシア空軍のSu-57、Su-35といった新鋭機に太刀打ちできない。ウクライナ空軍が戦闘機に求めているのは対空戦闘よりも、どちらかというと対地攻撃の需要の方が多い。ロシア空軍は防空ミサイルを警戒して、ウクライナ領内奥深くまで来る事はなく、戦闘機同士の空対空戦が行われるのは稀だ。2000-5Fにはフランスがウクライナに供与している巡航ミサイル「SCALP-ER」、精密誘導滑空爆弾「AASM」が搭載できる。現在、ウクライナに供与する2000-5Fの対地攻撃能力強化が行われているとされ、対地兵器の搭載能力を増やす、地上目標を検出および追跡する機能のアップグレード改修が行われている可能性が高い。現在、「SCALP-ER」を搭載できるのは数少ないSu-24だけになり、出撃回数が多く負荷が多い。2000-5はその負荷を軽減できる。AASMは毎月50発がウクライナに供与されており、現状、Mig-29で運用されているが、これもフル活用が可能になる。

sponser

ただ、機数の問題がある。フランスとしてはもっと多くのミラージュ2000-5Fを渡したかったが、フランス空軍の2000-5の配備数は26機とされ、戦力バランスを考えると現状6機しか供与できないとされる。フランス空軍はラファールの配備数の増加に伴い、ミラージュ2000を退役させているが、まだ時間がかかる。より多くの機体を供与するため、フランスは2000-5の退役を予定しているギリシャ、カタール、UAEと協議を行っているとされる。しかし、中東のカタールとUAEは立場的にウクライナに渡ると分かっていて機体を供与するかは不透明だ。現実的なところではNATO加盟国のギリシャになるだろう。ギリシャは今年、40機のF-35Aの購入を決定。また、18機あるフランス製のラファールを6機追加する予定であり、フランスの協議に応じる可能性は高い。ギリシャ空軍は24機のミラージュ2000-5Fを保有しており、新しい戦闘機の取得に伴い、同機の退役と売却を計画している。

sponser
sponser
フランスのミラージュ2000‐5F戦闘機は年末にウクライナに納入予定!対地攻撃能力強化中
フォローして最新情報をチェックしよう!