ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、ロシアの侵略からウクライナを守るために立ち上がった外国人義勇兵の第一陣がウクライナに到着したと発表しました。第一陣の数は不明ですが、これまで約16000人が義勇兵に参加するためウクライナに向かっていると述べています。日本でも70人が志願したことで話題になりましたが、欧米各国では数百人単位で志願する国もあり、デンマークは義勇軍の参加を容認、イギリスも自国民の参加を支持、スコットランドは百人以上が志願したと発表しました。アメリカは渡航しないように促していますが、多くの人がウクライナを目指しています。クロアチアでは200人の傭兵が既にウクライナ軍の南部に展開する大隊に加わって戦闘に参加しているという情報もあります。彼らの多くが軍人経験者ですが、しかし、何かには軍事経験が未経験の者、極右主義者が戦闘経験を積むためにと渡航する者もいるようです。なんにせよ、多くの国の人がウクライナを助けるために命を懸けて戦闘に参加するわけですが、気になるのが彼らの扱いです。彼らは正規兵ではないため、もし、ロシア軍に捕まっても国際法に基づいた扱いを受けられない可能性があるからです。
兵士・捕虜の扱い
10代の若いロシア兵捕虜はウクライナ人から暖かいお茶と食べ物をもらい母親にテレビ電話をし、涙を流した。兵士はここに来た目的も知らず、古い地図を持って、道に迷っていたそうだ。女性は彼の母親に「心配しないでください。彼は元気です」と伝えた https://t.co/3kRwv98kbm
— ミリレポ (@sabatech_pr) March 3, 2022
ジュネーブ条約のもと降伏、または負傷して戦えなくなった兵士を殺したり傷つけたりすることは禁止されています。そして、投降した捕虜を拘束、収容した場合は人権を尊重した扱いをせねばならず、拷問、その他の残虐な行為、品位を傷つける取扱い又は不当な取扱いは、明確に禁止されています。被収容者の生命、権利及び尊厳は、保護されるべきであり、彼らには食糧と水が与えられ、暴力から保護されなければなりません。拷問が例え、人命救助の情報を引き出す目的であってもこの規則に例外はありません。また、今回、ウクライナ軍、ロシア軍双方、多くの捕虜を捉えていますが、彼らには今後、捕虜交換という形で解放する手段もあります。
外国人義勇部隊にはジュネーブ条約の適用が難しい
しかし、ウクライナに義勇兵として参加する彼らは今のところ正規軍ではありません。武器を取って敵対的行為を取った時点で民間人とも分類されず、義勇兵がロシア軍に捕まった場合、ジュネーブ条約の下で捕虜として扱わる可能性は低いとされています。また、国も自国出身の義勇兵が捕まっても、彼らの立場上、国際法、人道的に扱うことをロシアに強く主張できない可能性があります。
ロシアは捕虜として扱わないと言っている
ロシア国営メディアTASS通信の報道によると、ロシア国防省のスポークスマン。イゴール・コナシェンコフ氏は、「西側がウクライナのために送っている傭兵(義勇兵)は、国際人道法の下で戦闘員の権利を享受することはない」という、ロシア側の公式声明を発表しました。つまり、ロシア軍は義勇兵を捕えても捕虜としての扱いはしない、ロシアの法律の下に裁かれると宣言しており、もし、捕まればどうなるか分かりません。
正規軍にすればよい
義勇兵が正規兵として扱われるようにするには、彼らにウクライナ軍の制服と認識証を渡し、ウクライナ軍に編入することです。ウクライナ人の志願兵も同様に制服などを渡され、領土防衛軍に編入されています。義勇兵には当初、ひと月3,300ドルの報償を支払うとゼレンスキー大統領は述べていましたが、これだと傭兵になるため、止めていました。フランス軍やスペイン軍内では正規軍内に外国人部隊もあり、義勇兵による外国人部隊を創設することも一つの手です。
ウクライナ政府はウクライナのために集まった外国人義勇兵が、もしロシア軍に捕まっても人道的な扱いが受けられるように対応する必要があります。