インド空軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリが高山病で4か月間立ち往生

インド空軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリが高山病で4か月間立ち往生
©Boeing

中国と国境を接するインド北部のラダック高原地帯で、インド空軍のAH-64Eアパッチ・ガーディアン攻撃ヘリが技術的故障で不時着、その後、4か月に渡って回収できぬまま立ち往生している事が分かった。これらは同機が飛行していた高地特有の環境に起因している。

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ユーラシア・タイムズの報道によるとインド空軍のAH-64Eアパッチ・ガーディアン攻撃ヘリが今年4月、中国国境に近いラダック高原地帯を訓練飛行中に技術的故障で不時着した。理由は動力喪失とされている。同機が飛行していたラダックはヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に挟まれた一帯になり、世界でも有数の高山地帯。この地域で最も高い峠の一つであるカルドゥン・ラ峠の標高は5,500mになる。この高度が、AH-64の不時着原因になり、空気密度が薄かった事と気温が低いこともあり、エンジン出力とローター推力が低下。これにより、飛行高度が保てなくなり、不時着した。機体は損傷したとのことだが、程度は不明だ。AH-64の実用上昇高度はスペック上は6,400mだが、気象条件や環境なども関係する。4月のラダックの最低気温は氷点下を大きく下回り、上空は更に低い。

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回収作業は困難を極めている。場所は険しい山岳地帯になり、車両での回収は困難。方法はヘリコプターによる吊り下げなり、これが可能な大型輸送ヘリはロシア製のMi-26か、米国製のCH-47チヌークになる。しかし、Mi-26は現在運航停止中で選択肢はCH-47だけだ。しかし、AH-64の緊急着陸地点は、標高4,000m地点になる。更に着陸地点に行くまでには標高5,500mのカルドゥン・ラ峠を越える必要がある。CH-47の実用上昇限度はAH-64よりも低い上に、たどり着けたとしても改修作業中、長時間、上空でホバリングする必要がある。更に帰りは重量約5トンのAH-64を吊り下げて飛行せねばならず、リスクは増すことになる。だが、夏を逃すとヘリでの回収はより困難になる。インド軍は生産元のボーイングとも協議して解体して陸路で回収する方法も模索している。

インド空軍は北部山岳地帯での領有権を争う対中国、パキスタンを念頭に22機のAH-64Eアパッチ・ガーディアンを配備しており、更に6機を追加発注している。

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