歴史ある米国のライト・パターソン空軍基地が竜巻で甚大な被害、展示機多数が失われる

歴史ある米国のライト・パターソン空軍基地が竜巻で甚大な被害、展示機多数が失われる
Wright-Patt AFB

2月28日にオハイオ州を襲った竜巻は同州にある米空軍のライト・パターソン空軍基地に甚大な被害をもたらした。同基地には米空軍史に残る機体が屋外に展示機として設置され、現存する唯一のB-17Dフライングフォートレス大型爆撃機が納められた修復格納庫複合施設があるが、それらも被害を受けた。

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Wright-Patt AFB

国立気象局によると、28日水曜午前4時30分頃にオハイオ州南西部と中部を竜巻が襲った。西部にあるライト・パターソン空軍基地も約4分間の竜巻に見舞われた。 竜巻は6段階評価で2番目に低いEF1に分類されるが、最大瞬間風速は時速136km/h~177km/hに達した。幸い竜巻による負傷者はいなかったが、航空機が保管されていた格納庫を含むいくつかの建物が深刻な被害を受け、屋外に展示されていた多くの貴重な歴史的航空機が損傷した。

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同基地の複数の建物の屋根板や側板がはぎ取られ、同基地内にある国立米空軍博物館の格納庫複合施設の建物の窓も吹き飛ばされた。同格納庫には第二次世界大戦時代航空機が保管されており、複数の修復プロジェクトが進められていた。その一つに現存する唯一のB-17Dフライングフォートレス大型爆撃機があった。B-17Dは1941 年に開発された機体で太平洋に配備、1941年12月の真珠湾攻撃後から戦闘任務に就いていた爆撃機。12,000機以上が生産されたB-17シリーズでも、B-17Dは僅か42機しか生産されていない希少な機体。同基地で修復作業を行っていたB-17Dは1945年に退役した機体でその後は個人が所有していたが、2008年に国立米空軍博物館が取得していた。博物館の広報官によれば、窓が割れた格納庫に駐機していたB-17Dは一部が損傷したが、幸い、修復可能な損傷だったと述べている。

しかし、格納庫の外に駐機していた展示機は悲惨な状況で、1950年代に開発された超音速ジェット戦闘機F-104スターファイター、1940年代に開発された初の複座ジェット練習機T-33シューティングスター、第二次大戦時の双発攻撃機A-26イントルーダーなどが強風で翼が折れるなど大きな損傷を受けた。エンジン部品は散乱し、プロペラは飛ばされ、消失している。1917年に開設された歴史あるライト・パターソン空軍基地は竜巻から保護するように設計されていなかった。

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ライト・パターソン空軍基地

ライト・パターソン空軍基地(Wright-Patterson Air Force Base)は、アメリカ合衆国オハイオ州デイトン近郊に位置するアメリカ空軍の基地。基地の名前の由来はこの土地出身のライト兄弟に由来する。アメリカ合衆国空軍研究開発コマンド(Air Force Research Laboratory)の本部、第445空輸航空団の本拠地など多くの部門や機関が所在している。また、国立アメリカ空軍博物館(National Museum of the United States Air Force)もこの基地内にある。30,000人以上の隊員が配属されている。

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Source

https://www.militarytimes.com/news/your-air-force/2024/03/01/tornado-damages-buildings-hangars-at-wright-patterson-afb/

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