インドネシア国防省は15日、カタール空軍が保有していた12機の中古のミラージュ2000‐5戦闘機を約12兆ルピア、8億ドルで購入することを発表しました。しかし、この価格、市場価格の二倍にもなり、インドネシア国内で物議を醸しています。
インドネシアはカタール空軍から単座型のミラージュ2000-5EDAを9機、複座型のミラージュ2000-5DDAを3機、計12機を購入します。これらはインドネシア空軍が現在運用するF-5E/FタイガーII戦闘機の段階的廃止とBAe ホーク209軽戦闘機の老朽化に伴うもので、カリマンタン島西海岸のポンティアナックにあるスパディオ空軍基地を拠点とする第1飛行隊に配備される予定です。インドネシア空軍は次期主力戦闘機としてミラージュ2000と同じ製造元であるフランスのダッソー社製の第4.5世代戦闘機ラファールの購入を決定しており、昨年2月に42機の購入契約に署名しています。しかし、初回納期は少なくとも2年後、完全な運用能力達成までに5年はかかるとみられています。それまでの防空能力を維持する必要があり、今回のミラージュ2000の決定に至りました。
問題はその価格です。ミラージュ2000-5の1機あたりの中古市場価格は2020年時点で3000万ドル前後。今回、インドネシアは12機を計8億ドルで購入します。単純計算で割ると1機あたり6600万ドルで市場価格の二倍です。高度な電子機器で構成された戦闘機はサポートや訓練、スペアパーツなど付随する関連費はつきものです。その上、ロシアによるウクライナ侵攻で世界の安全保障状況が変わり、各国で中古も含め、戦闘機の引き合いが多くなっており、多少価格が上がった可能性はあります。また、今回の取り引きには防衛関連企業のチェコスロバキアグループのエクスカリバー・インターナショナルが仲介したとインドネシア国防省は述べており、仲介手数料が上乗せされているでしょう。しかし、それでも倍は高すぎます。生産元のフランスからでは無いので、メーカーのサポート費用は含まれいないかもしれません。インドネシアは現在運用中のF-16を追加することも検討し、ギリシャ、エジプト、アメリカに打診していましたが、ウクライナ情勢の関係で需要が高まることが予測される同機を売る国はありませんでした。
今回のミラージュ2000の購入ついては国内からも高すぎるという声が上がっており、ジョコ大統領もこの取引について、疑問を呈し、国防省に質問しています。そもそも大統領は中古防衛装備品を購入しないよう命令しており、今回の取り引きはそれに反します。
Photo US Air forceインドネシアは老朽化したF-16とSu-27に代わる次期戦闘機としてフランスのラファール、ロシアのSu-35、アメリカのF-15EXの3機種から検討を行っていました。Su-35はアメリカからの圧[…]
Source
Ministry of Defense Claims Purchase of 12 Used Combat Aircraft Realistic Steps – Kompas.id