インドネシアは老朽化したF-16とSu-27に代わる次期戦闘機としてフランスのラファール、ロシアのSu-35、アメリカのF-15EXの3機種から検討を行っていました。Su-35はアメリカからの圧力もあり、早々に脱落。ラファールとF-15EXの一騎打ちとなりましたが、インドネシアとフランス両政府は2月10日にラファール42機を購入することを発表。F-15EXは敗北したことになりますが、その後、直ぐに米国務省はF-15EX 36機をインドネシアに売却することを承認すると発表するなど情報が錯綜しました。
次期戦闘機はラファール
L’Indonésie s’équipe du #Rafale https://t.co/pEqm9yR5y9
— Dassault Aviation (@Dassault_OnAir) February 10, 2022
Indonesia purchases the Rafale https://t.co/31yOXIUjhD pic.twitter.com/BVfs4HYg9o
インドネシアとフランスの両政府は、10日、インドネシアがフランスからラファール6機を購入する契約に合意、更に36機の購入の初期契約にも署名したと発表しました。この契約には搭乗員の訓練、インドネシア空軍基地の後方支援、および2つのフルミッションシミュレーターを備えた訓練センターが含まれ、その総額は81億ドルに及びます。更に両国の間では通常動力型攻撃潜水艦のスコルペヌ型2隻をインドネシア海軍に導入する契約にも合意しています。
ラファールの契約が発表された同日にアメリカ国防安全保障協力局（DSCA）はインドネシアへの「F-15ID（F-15EXのインドネシア版）および関連機器、推定139億ドルの費用での対外有償軍事援助の可能性を承認する決定を下した」と発表しました。この契約には最大36機のF-15EXが含まれます。一見、インドネシアとアメリカとの間でF-15EXの購入に合意したものと思われましたが、あくまでアメリカがF-15EXの売却を承認したというだけで、契約に合意したものではありません。F-15EXはラファールとの争いに敗れています。しかし、インドネシアが、今後、F-15EXを購入したいということであれば、購入できるわけです。
合意していたSu-35
早々に脱落したロシアのSu-35ですが、インドネシア空軍ではSu-27とSu-30の2つのロシア製戦闘機を運用していたこともあり、実は2018年にインドネシアとロシアとの間では11億4,000万ドル相当、11機のSu-35戦闘機を供給することで合意に達していました。資金が不足していたインドネシアに対しロシアはパーム油、ゴム、コーヒーなど5億7000万ドル相当の現物取引も許諾していましたが、ロシアの武器や軍装備品を購入すればアメリカから制裁の直面する可能性があったため、Su-35は選定から脱落します。アメリカのこの圧力がラファールの採用決定に影響したと言われています。
韓国と共同開発するKF-21
インドネシアのラファール購入に気が気でないのが韓国です。韓国とインドネシアは第4.5世代の新型戦闘機KF-21の共同開発を行っています。ちなみにラファールも第4.5世代のマルチロール戦闘機です。朝鮮日報によれば、インドネシアはKF-21の開発費用の20％、1兆7300億ウォン（約1670億円）を負担することになっていますが、最初に2200億ウォンの納付した2017年以降、経済難を理由に分担金を滞納。現在、8000億ウォンが滞納。これを受け韓国もロシアと同様、負担額の30％を現物取引による支払いを許諾しています。
インドネシアは最大48機を取得することを表明していましたが、ここにきて、ほぼ同数のラファールを取得することを決定してしまったわけです。KF-21の開発完了は2026年ですが、ラファールは2024年までに納入されます。しかも、新規に製造されるラファールは2070年まで運用可能とされています。韓国側は影響ないと主張していますが、両国によるKF-21の共同開発には暗雲が立ち込めています。
