イラン国防相は、ロシアからSu-35戦闘機を購入する契約が決裂したことを暗黙のうちに認めた。
イランインターナショナルの報道によれば、イラン国防大臣のモハマド・レザー・ガラエイ・アシュティアーニ氏は水曜日、昨年、ロシアと成立したとされるSu-35戦闘機の契約の状況について質問された際に、同氏は「同等の能力を持つ高性能戦闘機を国内で生産する能力がある」と答え、計画変更の可能性と、暗にSu-35購入が決裂したことを示した。
イランはロシアとの合意のもと、Su-35戦闘機24機を今後3カ月以内に受け取ることを発表しました。イランメディアのTasnim News Agencyによれば議会の国家安全保障委員会のメンバーであるShahriar Hei[…]
イラン当局は今年1月にロシアとの合意のもと、Su-35戦闘機24機を今後3カ月以内に受け取ることを発表した。早ければ4月に最初の機体が納入されず筈だったが、今のところ納入されたという報道は無い。アシュティアーニ氏は詳細を明かすことに消極的な様子で、「ある時点で買収の合意を結んだが、国内で(戦闘機を)生産する能力があるという結論に達した」と語った。ただ同氏は、当局が「状況を調査中」であり、必要と判断されれば買収を再考する可能性があるとも述べている。
国内で生産すると言っている戦闘機はイランが2018年に生産開始を発表した国内で開発設計された”コウサル戦闘機”と推測されている。しかし、一部の軍事専門家は、この戦闘機機が1950年代にアメリカのノースロップ社開発したF-5戦闘機のコピーであると言われている。イランもコウサルはF-5をベースにしていると認めているものの、新規に開発された戦闘機で最新のアビオニクスを搭載。第4世代戦闘機と位置付けている。ちなみにロシアはSu-35を第4.5世代戦闘機と位置付けている。
Su-35購入決裂の背後にある理由については、さまざまな理由が推測されている。一つはイスラエルの影響だ。イランの宿敵であるイスラエルにとってはイランが最新鋭戦闘機を持つことは好ましくない。イスラエルとロシアはシリア情勢を巡って、互いを攻撃しないよう協力関係を築いており、また、イランに肩入れしすぎると、イスラエルがウクライナへ全面的支援に回る可能性もある。イスラエルはウクライナへの軍事支援を行っていない。また、ロシアとしてもSu-35を提供することによって中東情勢を不安定化させることは現状好ましくないと考えており、他の近隣諸国との関係にもヒビが入る可能性がある。サウジアラビヤやアゼルバイジャンなどイランの敵は多い。
もうひとつがイランはSu-35のスペアパーツなどを国内で生産、国内で整備できるノウハウを得るための技術移転をロシアに求めたが、それをロシアが拒否したと理由だ。ロシアは機体の販売のみで整備、兵器、予備部品、シミュレーターに関して適切なサポートを提供するつもりはないとされている。イランの航空機技術は親米国家だった1960年代に手に入れたF-14トムキャット、F-5両戦闘機から進歩していなく、未だにそれを運用している。
上記に付け加え、ロシアはアゼルバイジャンとアルメニア間で起きたナゴルノ・カラバフ紛争の際、アルメニアに対し、アゼルバイジャンへの攻撃にロシア製戦闘機の使用を許可しなかったとされおり、購入してもイスラエルに対し使用できない可能性があり、ロシアが信用できず、不信感を持っていたと言われている。
これらが事実であれば、ウクライナ侵攻で見せた両者の蜜月関係に今後、ヒビが入るかもしれない。
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