二階級特進は日本だけ?戦死・殉職で階級上がる特進とは

二階級特進は日本だけ?戦死・殉職で階級上がる特進とは

戦死・殉職すると階級が上がる”特別進級”こと「特進」。戦死、殉職ともに滅多にない日本では聞くことは少なく、警察ドラマの殉職シーンでたまに聞く位のワードだ。この特進という制度は実は世界的に一般ではなく、国によって制度も異なる。特進の事例についていくつか紹介する。

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日本

特進とは職務階級が明確な自衛隊員や警察官、消防士、海上保安官などに設けられている慣習の一つ。通常一つづつしか上がらない階級だが、戦死・殉職した際は命をかけて職務を全うした功績を称えて、生前の階級から二つ階級が上がる、二階級特進が慣例になっている。死亡退職金や遺族年金では、特進後の階級を基準とされる。

特進は旧日本軍時代からの慣習で1904年の日露戦争まで遡る。この時は優れた功績を残した士官に特例として一階級特進が与えられた。そして、日中戦争前の第一次上海事変において爆弾抱えて敵陣に突入、自爆し、活路を開いた爆弾三勇士に初めて二段階特進が行われ、第二次大戦中も優秀な戦果を上げ戦死したものには二段階特進が与えられた。それが引き継がれている形だ。

アメリカ

アメリカ軍にもベトナム戦争までは死後の特進はあったが、現在は少なくなっており、死後昇級する場合は、生前に昇級する予定があった場合とされている。その代わりといっては何だが、多くの戦死者にはパープルハート賞(写真上)と呼ばれる名誉戦死傷章や功績に対する勲章が授与される。名誉昇級もあるが、あくまで名誉であって日本とは違い手当ては昇級後の階級に基づかない。

戦死でなくとも昇進するケースもある。バッド・デイ元大佐はベトナム戦争中に5年間捕虜となって生還し、2013年亡くなったが、当時の功績を称えられ、死後、名誉昇級され最終階級が准将にあがった。初代大統領であるジョージ・ワシントンは陸軍中将の階級で1799年に67歳で亡くなっているが、死後177年後である1976年に陸軍の最高位である陸軍大元帥に階級があがるなど、戦死でなくとも生前に優れた功績を残したものには名誉昇級が与えられる。

警察官に関しては殉職後の昇進は広く行われており、手当てに関しても昇進後の階級が対象となる。ただ、警察は各自治体によって管理運営されるので、州や市によって基準はことなる。

第二次大戦時のドイツ軍

死後の特進は第二次大戦時のナチス・ドイツ軍でも行われていた。ドイツ軍の最高指揮官であるアドルフ・ヒトラーは戦死、死亡、行方不明になったドイツ軍兵士について、一定の基準が満たされていれば、死後の昇進が可能であると宣言した。対象は以下

・翌月までに昇級する予定だった者
・当局から昇級を推薦されていた者
・司令官の推薦、または承認によって功績が称える者
・本人の責任によらずに昇級が遅延していた者

この法令は、1941年1月 に出されたが、ドイツがポーランド侵攻した1939年8月26日に遡って適用された。

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