クルド人をご存知でしょうか?世界中に3000万人いるとされる彼らは国家を持たない民族としては最大の集団になります。主にトルコ・イラン北西部・シリア北東部等、中東の各国に広くまたがる形で分布しており、 イラク北部にはクルド人自治区があります。日本にも600人程が在住しています。
中東に歴史を持ち、多くがイスラム教徒の彼らが他の中東諸国と大きく異なる点があります、それが男女平等です。中東の多くの国では女性の地位は低く明確な差別がある中で、それは異質です。そんなクルドでは、男女平等の方針のもと、女性だけで編成された武装組織が存在します。ISIS(ISIL)イスラム国との戦いでも重要な役割を果たした彼女たちはいったいどういった組織なのでしょうか。
クルド女性防衛部隊(YPJ)
2013年にシリアを拠点とするクルド人民防衛隊の女性旅団として設立されたのがYPJ (Yekîneyên Parastina Jin)になります。ちなみに男性版はYPGです。その他にYPJとYGPから編成され、米軍とCIAから訓練を受けた特殊部隊YATが存在します。 YPGとYPJはシリア北部を事実上統治しているクルド人連合の武装部門です。
※女性部隊というとクルド労働者党(PKK)が支援する 「ペジャーク」(PJAK)という組織にもあるのですが、日本の公安からテロ組織として認定されているので言及はさけます。
もともとはクルド人の自治をまもるための抵抗運動の中で生まれた組織でしたが2013年のISISのイスラム国建国宣言とシリア、イラクに対する侵攻が彼らの居住区にも及ぶことになり、戦いに参加することになります。
イスラム教の中にはスンニ派やシーア派以外にもいくつか宗派があり、クルド人の中には山岳信仰といったシャーマニズムをベースにしたヤズィーディー教徒が多くいました。彼らを厳格なイスラム教徒はイスラム教徒とは認めず、昔から迫害されていました。ISISも彼らを異教徒して扱い、男性を皆殺しに、子供は拉致して少年兵として教育します。そして、女性たちは性奴隷として扱いました。一夜にして7,000人の女性がISISに連れ去られ性奴隷にされたと言われており、子供も少女も含まれていました。ISIS内では戦利品として扱われ、強制結婚され、一夫多妻制も施行されました。
彼女たちは凄惨目にあいながらも中には脱出、救出された者たちも多くいました。その多くが被害者であることよりも戦い、他の同胞たちを救出することを選び、YPJに加わります。今では18歳から40歳まで2万人の隊員がいると言われ、学生や元弁護士、母親など、そのルーツは多岐に渡ります。
女性に殺害された場合、不名誉で死ぬ
凄惨な目にあった彼女たちは恐れを知らず、勇敢に戦い戦火を上げます。クルド系メディアだけではなく海外メディアも対ISIS戦において不可欠なものとなったと指摘しました。 ISISの首都であったシリアのラッカ奪還作戦においては女性司令官のロジダ・フェラトのもと、YPJが主力部隊としてラッカを奪還します。厳格なイスラム原理主義の男性の中では女性に殺害された場合、不名誉で死ぬと考えられており、彼女たちは恐れられました。そして、彼女たちはいつしか女性にとって自由の象徴と言われるほどになります。
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彼女たちの戦いはまだ終わらない
クルド人は悲劇の民と呼ばれ、昔から自分達のアイデンティティーと自治をまもるために戦ってきました。フセイン政権下時のイラクでは既に女性たちは戦っていました。彼女たちはクルドのため、そして女性に閉鎖的なイスラム社会において女性の自由の象徴としてこれからも戦い続けます。
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出典: https://medium.com/monda-observanto-en-espa%C3%B1ol/el-empoderamiento-de-las-mujeres-kurdas-ecb092599f3e
https://www.theweek.co.uk/60758/ypj-the-kurdish-feminists-fighting-islamic-state#ixzz3GjjLHvDw