世界最悪の過激派テロ組織グループである「イラク・シリア・イスラム国(ISIS/ISIL) 」の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者を殺害したとトランプ大統領が発表した。 バグダディ容疑者を殺害したのはアメリカ陸軍特殊部隊デルタフォースだった。
作戦概要
ワシントンポストによると、急襲作戦は26日午後5時ごろに始まった。急襲部隊は70人からなる特殊部隊になる。彼らを乗せるのは MH-60ブラックホークとMH-47チヌークを組み合わせた、特殊作戦航空連隊(160th SOAR)のヘリコプター8機だった。 空中には2機の特殊作戦機MC-130Jが司令部兼航空支援を行った。1時間10分の飛行の後、バグダディの潜伏先に到着した特殊部隊は、玄関に仕掛けられたブービートラップを避けるために壁を破って内部に突入。ISIS戦闘員と激しい銃撃戦の末、数人を殺害し、他の者たちは降伏した。追い詰められたバグダディは子供3人を連れてトンネル内に逃げ込むも追い詰められ、着ていた自爆ベストで子供達と一緒に自爆、死亡した。遺体の損壊は激しかったがDNA鑑定で本人と確定された。連れていた子供は自身の子かどうかは分からないが、 バグダディは1971年生まれの48歳になり、 2014年には4~6歳の娘がいたと報じされており、おそらく幼い子供が巻き添えになったと思われる。襲撃はおよそ2時間で終了した。米軍側に死者は出なかったが軍用犬が怪我を負った。米軍はその後、同地域がバグダディの墓標として神殿化しないように周辺に対してF-15Eの編隊による爆撃を行い破壊した。
今回の作戦名はISISに捉えられて殺害された人道支援活動家のケーラ・ミュラー氏の名前を取って「Operation Kayla Mueller(オペレーション:ケーラ・ミュラー)」と名付けられた。
We have declassified a picture of the wonderful dog (name not declassified) that did such a GREAT JOB in capturing and killing the Leader of ISIS, Abu Bakr al-Baghdadi! pic.twitter.com/PDMx9nZWvw
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 28, 2019
負傷した軍用犬。名前はコナンという。
作戦に参加したのはデルタフォースのA Squadron
テロ組織の最高指導者殺害というとアルカイーダの最高指導者であったオサマ・ビン・ラディンをを殺害した2011年の「ネプチューン・スピア作戦」が思い出させる。この時、作戦に参加したのは米海軍特殊部隊ネイビーシールズの中でも精鋭を集めたチーム6「DEVGRU(デブグル)」だった。そして、今回の作戦にも特殊部隊が参加したという事で、同じ部隊が予想されたが参加したのは海軍ではなく、米陸軍の特殊部隊である「DELTA FORCR(デルタフォース)」だった。
デルタフォースとは
陸軍には他にグリーンベレー、第75レンジャーといった特殊部隊があるが、デルタフォースは米陸軍、そして米軍全体の中でも精鋭といわれる特殊部隊になり、主に対テロ作戦を目的とした特別部隊になる。デルタフォースはその作戦の性質上、米軍内でも部隊に関するすべての情報は高度に機密化されており、特定の任務や作戦に関する詳細は一般に公表されていない。 デルタには1,000人近くの兵士がいて、そのうち約250人から300人が今回のような直接行動や人質救出作戦を行う訓練を受けている。この実働部隊はA、B、C、Dと4つの Squadron(戦隊)に分かれており、今回、作戦に参加したのはA Squadronになる。今作戦には同じく米陸軍の特殊部隊である第75レンジャー連隊のメンバーも攻撃に参加していた。作戦指揮は、「ネプチュン・スピアー作戦」 を指揮した統合特殊作戦司令部によって監督されていた。
ネプチュン・スピアー作戦は2012年に『ゼロ・ダーク・サーティ』『ネイビーシールズ: チーム6』というタイトルで映画化されており、おそらく、今作戦も近いうちにハリウッドで映画化されるだろう。