イスラエル国防軍(IDF)は来年2024年から、これまで男性隊員のみで編制されていたサイェレット・マトカルといった特殊部隊や精鋭部隊にも女性隊員を統合することを発表した。
今回の決定は女性兵士からの嘆願によるもので、特定の戦闘任務、歩兵部隊、あるいは機甲部隊や特別な入隊審査のあるエリート部隊の幅広い役割に女性兵士が徴兵されない理由を説明するよう求めていた。特定の役割から女性兵士を排除するIDFに対し、イスラエルの高等裁判所はその合理的な理由を回答するように迫っており、その回答期限が9月だった。その結果、IDFは 「女性に開かれた戦闘の役割の拡大に関する高等裁判所への申し立ての結果、IDFは徹底的かつ包括的な審査プロセスを実施するとし、女性の選考プロセスを男性の選考プロセスと同じにすることが決定され、女性が戦闘任務の選考に参加する機会を拡大する。これは、女性が男性と同様に、閾値要件なしに戦闘任務に応募できることを意味する」と回答した。ただ、今回の門戸解放まだ試験的なもので、その結果を受けて、今後の徴兵制度を再検討する。
イスラエルでは世界でも珍しい男女共に兵役が義務付けられており、18歳から男性の場合は2年8か月、女性の場合は2年間、軍務に就く。男女ともに同じ装備を渡され、同じ内容の基礎訓練に戦闘訓練、ゲリラ演習などをこなした上で、部隊に配備される。ただし、ここで男女格差が発生し、前線は男性。女性は前線から離れた後方勤務につかさせる。
IDFの分析によれば、重い荷物を運ぶ能力、特に長距離で重いバックパックを何度も背負わされると、女性は男性よりも怪我のリスクが大幅に高くなるとされ、特に重装備を携行して長時間歩くことが多い前線の部隊や特殊部隊などからは女性兵士は排除されていた。しかし、少しづつ、女性の門戸は開かれており、エジプト国境を守る南部軍のカラカル大隊は編制の7割が女性が占めている。同地域では今年6月に銃撃戦が起き、3名が死亡している。現在、戦闘地域に配備されている兵士のうち5分の1は女性になる。機甲部隊にも女性の戦車長が誕生している。
今回の決定を受けて、サイエレット・マトカルのほか、精鋭捜索救助部隊699、工兵隊特殊部隊(ヤハロム)への挑戦が可能となる。ヤハロムに関しては、12人の女性戦闘員からなる初期グループがすでに徴兵され、現在訓練を受けている。
イスラエルという国をご存知だろうか?国名ぐらいは聞いたことはあると思うが日本人にとってはあまり馴染みの無い国だ。第二次世界大戦で迫害されたユダヤ人によって1948年に独立したこの国は地理的には中東に位置しながらヨーロッパに属し、 […]
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