ウクライナ人技術者が開発する魚雷発射可能な小型装甲潜水艇クロノス

ウクライナ人技術者が開発する魚雷発射可能な小型装甲潜水艇クロノス
©Highland Systems

ウクライナ人が創設したアラブ首長国連邦(UAE)の軍需企業ハイランド・システムズ社が開発中の魚雷発射可能な小型の装甲潜水艇「KURONOS(クロノス)」。既に戦闘テストを受けており、完成間近とされる。同社はクロノスを黒海で戦うウクライナ軍に提供すること打診している。

sponser

ウクライナ人のエンジニアによって設立され、現在はUAEと英国に拠点を置き、最先端テクノロジーを駆使した兵器を開発するハイランド・システムズ社が開発中の小型装甲潜水艇「KURONOS(クロノス)」。ウクライナメディアのキーウ・ポストの報道によれば、先日、戦闘試験を行った事が発表された。2023年2月の軍事展示会で初めて公表されたクロノスは未来的な流体力学設計を採用した小型潜水艇で、高い性能と卓越した効率を実現し、潜水時のエネルギーコストを大幅に削減、燃料消費を大幅に削減し、最高速度を向上させ、優れた安定性を提供する革新的な船体設計を特徴としている。同社の高度に熟練した設計、研究、開発チームが主導するこの潜水艇は、乗員10人を収容でき、商業的な利用から、救助、戦闘活動に適していると述べており、ウクライナ・フロントラインが昨年行った、同社の開発責任者オレクサンドル・クズネツォフへの取材で同氏はウクライナ軍にクロノスに関心があるかと打診した事を報道している。

Highland Systems informed whether Ukraine would be interested in the Kronos submarine for combat missions in the Black Sea
sponser

スペック

クロノスの全長9m、幅7.4m、高さ2m、重量は10t。ペイロードは水上移動で3,000kg。ソナー、レーダー、通信システム、暗視カメラ、360度カメラ、電子潜望鏡を装備。水上での最大速度は80km/hと高速艇並みのスピードがあり、水中でも最大速度は50km/hになる。潜水艇として気になる潜水深度だが、100mと十分な潜水能力があり、限界深度は250mと公表されている。翼のようなフィンを備えた船体は水中での機動性が向上している。このフィンは折畳み式になっており、地上輸送や船舶への搭載が可能。

クロノスはディーゼル発電機と強力な電気モーターを組み合わせたハイブリッド推進システムを備えており、1回のチャージで最大54時間の動作持続時間と1000kmの航続距離を誇る。バッテリーのみの場合は最大18時間で酸素供給時間は最大36時間になる。なお、無人での遠隔操作も可能だ。

sponser

船体はソナーによる探知を減らすように設計された特殊な複合材料で作られており、ステルス性を実現している。また片側3基ずつ、合計6基の魚雷発射管が装備されており、キーウ・ポストなどの報道によればイタリアの軍需企業レオナルド社が開発製造するブラックスコーピオン魚雷が装備される。魚雷の全長は1.1m、直径127mmの小型魚雷で、射程3km、水深30~200mの範囲の浅海で運用する能力を備えている。

クロノスの設計は複雑で高機能であるため、コストが高く、無人ボート、潜水艇の開発配備が進む中、この手の高スペックの小型の有人無人艇が将来、どれだけ需要があるかが懸念される。

sponser
sponser
ウクライナ人技術者が開発する魚雷発射可能な小型装甲潜水艇クロノス
フォローして最新情報をチェックしよう!