シリアで反政府勢力が大規模攻勢!減るロシア軍と親イラン親兵

シリアで反政府勢力が大規模攻勢!減るロシア軍と親イラン親兵

2011年から内戦が続く中東シリアで反政府勢力による大規模な攻勢があり、アサド政権の支配地域、少なくとも20カ所以上が反政府勢力に制圧された。ロシアの支援を受けていたアサド政府軍は一時、反政府勢力を圧倒していたが、ウクライナ戦争の影響で駐留ロシア軍の戦力は減っていた。また、同じくアサド政権を支援する親イラン民兵もイスラエルの攻撃によって縮小していた。今回の反政府勢力の攻撃は2020年以降最大とされ、紛争の激化が懸念される。

sponser

CNNやロイターといったアメリカメディアの報道によれば、ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)といった反政府勢力がシリア北西部の要衝アレッポのアサド政権支配地域及び、軍事基地に対して大規模攻勢を実施。攻撃はイスラエルとレバノンのヒズボラとの間で停戦合意した直後の11月27日に行われた。反政府勢力の声明によれば21カ所の村及び、同地域最大のシリア政府軍基地とされる第46基地を制圧した。2011年3月から続くシリア内戦は2020年3月にロシアとトルコがシリア国内で停戦合意を仲介したこともあり、ここ数年、前線は停滞していたが、今回の攻勢は過去4年で最大規模の衝突となった。アレッポは一時反政府勢力が制圧するも2016年にアサド政府軍が奪還。その後は政府が支配していたが、今回の衝突で北部の要衝を巡る争いが再燃する懸念がある。停滞していた戦闘が再燃する要因の一つにアサド政権を支援するために駐留していたロシア軍、イラン民兵の戦力低下があげられる。

sponser

プーチン大統領はアサド政権の維持とシリアのイスラム国掃討を目的に2015年9月に軍事介入。空母アドミラル・クズネツォフを派遣し、空爆を実施。シリア国内にも軍隊を駐留させ、アサド政府軍を支援した。また、ロシアの民間軍事会社ワグネルの傭兵も多数雇われた。シリアには常時5000人のロシア兵が駐留、少なとも延べ6.3万人以上の兵が派遣され、戦闘経験を積んだと言われている。また、ロシア空軍はシリア上空で10万回以上の戦闘出撃を行った。内戦当初、反政府勢力に押されていたアサド政府軍の支配地域は17%まで減少したが、ロシアの手厚い支援を受け、形勢を逆転。アレッポを奪還するなど支配地域を広げ、国土の3分の2まで支配地域を広げた。一時は政権維持が危ぶまれ、内戦時の人権弾圧などで国際社会から追放されたアサド政権だが、今はシリアにおいて、もはや軍事的な勝利は確実とみなされていた。

sponser

そんな中、2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻。戦争が長期化し、ロシア軍が苦境に陥ると、ウクライナの軍事力強化のため、ロシア軍は2022年5月にシリア駐留軍の一部を撤退させたと報じられる。最初にウクライナ侵攻したロシア軍は新兵や徴収兵といった経験不足の兵がメインだった。ロシア軍のエリート部隊はシリアに派遣されていた。シリアに配備されていたS-300防空システムをウクライナに再配備した事も確認されており、軍事装備品の移転も行われている。その影響か、シリア国内に最大132カ所あったロシア軍の基地は2023年までに105カ所に減少した。その間にイランの影響力が増大。イスラエルと対立するアサド政権を支援、イスラエルの隣国である同国に軍事拠点を確立するため、イスラム革命防衛隊(IRGC)や親イラン武装組織など複数のイラン民兵がシリア駐留した。シリアにおけるロシアのプレゼンスは低下した。ただ、ハマス、ヒズボラがイスラエルと戦争を始めた事で、それらを支援するシリアのイラン軍事拠点にイスラエルが攻撃を開始。IRGCの司令官が殺害されるなど、被害が増えた事で一部が撤退している。そして、今度はロシアが2024年中に軍事拠点を114カ所まで増やし、改めて軍事力の強化を図っているとされる。今回の反政府勢力の攻勢はロシア空軍が空爆で反撃したとされるが、反攻をくい止める事ができなかった。また、ロシア軍のエリート部隊が待ち伏せ攻撃を受け、全滅したとされる画像がSNSなどには上がっている。

ウクライナ軍が少数ながら、シリアに特殊部隊を派遣。反政府軍と共にロシア軍と政府軍を攻撃していることが今年に入って確認されている。目的はシリアのロシア軍と政府軍を弱体化させる事で、ロシアがシリアにも兵力と兵器を転用せざるをえない影響を作り、ウクライナのロシア軍の戦力を低下させることだ。アサド政府劣勢になれば、それはロシア軍にも影響してくる。

sponser
sponser
シリアで反政府勢力が大規模攻勢!減るロシア軍と親イラン親兵
フォローして最新情報をチェックしよう!