M202 携行型多連装ロケットランチャー

M202 携行型多連装ロケットランチャー

『ガンダム』や『アーマード・コア』などロボットアニメでよく見る肩に搭載された多連装型ロケットランチャー。アニメや映画の世界でよく見るこの形式の武器が人が携行する形で実在している。それが、米軍が開発したM202 Flashだ。アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『コマンドー』を見た世代では知っている人は多いだろう。

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火炎放射器に代わる武器として開発

コマンドー

M202 Flashはベトナム戦争中の1960年代にアメリカによって開発された携行型のロケットランチャーだ。ロケットランチャーというと対戦車ロケット弾を発射するイメージが強いと思うが、M202 Flashの”Flash”は”FLame Assault SHoulder(携行型火炎強襲武器)”の略になり、発射するのは焼夷ロケット弾(ナパーム弾)で、火炎放射器の代わりとなる武器として開発された。第二次世界大戦時から広く使われるようになった火炎放射器だが、扱う兵士はガソリンを積んだタンクを背負い、標的の40mまで使づく必要があり、タンクに被弾すれば周囲を巻き込んで火だるまになるというリスクがあった。そこで、開発されたのがロケット弾発射型のM202になる。1969年4月に最初の試験用のM202が納入され、1970年から採用、ライフル小隊につき一個が配備された。ベトナム戦争ではオープンエリアにいる敵人員や非装甲の車輛。木造建築やジャングルに隠れた敵に向けて使用された。

M202 Flashの発射装置にはプラスチックが使われ、装填なしでの重量は5.22 kg、4つの発射管にフル装填した場合は12kgと見た目ほど重くなく、兵士一人で十分に携行できる重量になる。M2火炎放射器がフル装填時で約30kgだったことを考えると相当軽くなっている。4つの発射管には、66mm M74焼夷ロケット弾が装填され、ロケット弾に含まれる増粘自然発火剤(TPA)は空気に触れると760度から1204度の温度で燃焼した。口径は当時使用されていたM72対戦車ロケット弾と一緒で、陸軍や海兵隊からは発煙弾も使えるよう要望があったそうだが、ほとんどが焼夷ロケット弾を使用する形で使われた。射程はピンポイント射撃で200m、エリア射撃で800m。射撃は単発と一斉射撃が可能で、4発同時発射した場合の命中精度は50m先のバンカー入口へのピンポイント射撃、500m先の分隊規模の部隊へのエリア射撃で50%になる。発射装置は使い捨てではなく、再装填が可能だ。

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あまり使用されることは無かった

軽量化したとはいえ、全長686mmのM202 Flashはかさばり敬遠された。また、大きな後方爆風(バックブラスト)が発生し、発射する際は後方15m×15mのエリアの人員、装備品を全て排除した安全領域を確保する必要があり、後方25mの円錐形の警戒区域では目と耳を保護する必要があった。またM74のTPAは発火し易く、フル装填時にもし漏れて発火すれば甚大な被害を与える危険性があり、部隊からは敬遠され、1980年代以降はほぼ使われずに武器庫に眠っている。しかし、廃棄されたわけではなく、2009年のアフガニスタンに駐留する部隊の装備品の目録にM202の記述があったことが報告されたが実際に使用されたかどうかは不明だ。

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