メキシコ、米軍の武器が国境を越えて中南米に密輸入されていると公表

メキシコ政府は米軍の武器がアメリカ・メキシコの国境を越えて国内に流入、更に中南米の麻薬カルテル、犯罪組織に流れていると発表し、アメリカに調査を求めた。

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メキシコのアリシア・バルセナ外務大臣は22日月曜に行われた記者会見で「メキシコ国防総省は、米軍で使用されている兵器がメキシコに持ち込まれることについて米国に警告した。これに関する調査が急務である。」と述べた。武器密輸に関する問題は19日金曜にバルセナ大臣がワシントン訪問中に両国が話し合った問題の一つだったが、メキシコは長年に渡ってこの問題についてアメリカに取り締まるよう訴えてきた。隣国、アメリカが銃の所持が認められているの対し、メキシコは銃の売買は厳しく管理されており、合法的に入手することはほぼ困難だ。しかし、監視は緩く、非合法の銃器が数多く蔓延している。毎年50万以上の銃器が米国からメキシコに密輸されており、犯罪に使用される銃器の70%がアメリカから密輸された銃器とされている

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しかも、密輸される銃器は拳銃といった個人防衛用のハンドガンといったレベルではない。特にメキシコの麻薬カルテルはドラッグなど非合法ビジネスで得た豊富な資金を基に犯罪組織レベルを超えた装備を揃えている。アサルトライフルはもちろんのこと、ロケットランチャーや重機関銃といった火器まで持っており、もはや準軍事組織といってもよい。メキシコ軍は昨年6月、2018年末以降、麻薬カルテルから全自動機関銃221挺、グレネードランチャー56基、ロケットランチャー12基を押収したと発表しているが、氷山の一角に過ぎない。カルテルがMINIMI(M249)軽機関銃、M2ブローニング機関銃、バレットM82対物ライフルを使用しているのも確認されている。そして、これらは米軍にも配備されている。ロケットランチャーについても世界の武器市場に出回っているソ連製のRPGを持っているのは分かるが、主に西側諸国で配備されているスウェーデン製のAT-4携行式対戦車弾をガルフ・カルテルが所有しているのが確認されている。これは当初、ウクライナに供与された物が流れたとも噂された。

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とはいえ、これら西側製の銃器が全て、アメリカ、米軍から流れたとは限らない。そもそもメキシコ軍内部も腐敗しており、メキシコ軍から麻薬カルテルに流れる者も多い。ロス・セタス・カルテルなどは元メキシコ陸軍特殊部隊隊長のアルトゥーロ・グスマン・デセナ大尉が自身の部下のエリート特殊部隊員を30人引き連れて1990年にガルフ・カルテル内で結成した傭兵部隊が起源のカルテルだ。また、昨年10月にはチリ軍の現役兵が軍の銃器を横流ししていたとして逮捕されている。その中にはAT4も含まれていた。

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メキシコ、米軍の武器が国境を越えて中南米に密輸入されていると公表
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