10万人以上の兵がウクライナ軍から逃亡

10万人以上の兵がウクライナ軍から逃亡
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戦力で上回るロシア軍に対抗するため、兵力の確保が課題になっているウクライナ軍だが、これまでに10万人以上の兵が前線から逃亡している事が分かった。

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AP通信の報道によれば、ウクライナ軍筋の話として、10万人のウクライナ軍兵士が戦闘や前線の拠点を離れ、軍を脱走しており、軍司令官や兵士らによると、部隊全体が持ち場を放棄するケースもあり、防衛線が脆弱な状態となり、領土の喪失が加速しているという。実際、ロシア軍の今年10月から11月にかけての2か月間の制圧面積は1500平方キロメートルと過去最大になった。これは東京湾の面積とほぼ同じだ。

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長期化、終結が見えない戦争に兵は疲弊

2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、3年目が近づくが、戦争は未だ終息の気配が見えない。侵攻初期は国と愛する人を守るためと多くの国民が軍に志願するなど、兵の士気は高く、数日間での首都キーウを制圧を目論んだロシア軍を撃退。その後、攻勢に出て、キーウ周囲及び、北部からロシア軍を撤退させると、2022年9月にはハリキウ州のほぼ全域を奪還するなど、士気が低いロシア軍を圧倒した。2023年には西側から戦車、戦闘車、重砲など多くの軍事支援を受けて、同年6月に南部、東部で大攻勢をしかけた。ウクライナ軍上層部はこの攻勢で領土を奪還し、戦争終結に向けた道筋を探るつもりだったが、ロシア軍の厚い防衛戦を前に思うように進まず、最初の2週間だけで、戦場に投入した兵器の20%を失うなど反転攻勢は失敗。今度は逆に東部からロシア軍の再侵攻を許すことになり、東部の要衝バフムート、アウディイウカなどを失った。2023年末からはウクライナ軍は物資不足に直面する。西側の支援が滞った事もあり、前線では砲弾が不足。ウクライナ軍とロシア軍との間では火力に最大10倍の差がついた。

2023年末からウクライナ軍は守勢に回る事が多くなっており、前線で戦う兵士はロシア軍の圧倒的火力にさらされる。毎日続く砲撃、犠牲を顧みず突撃してくるロシア兵を前にウクライナ兵は疲れ果て、そしてトラウマを抱え、人知れず、前線を離れる者が多くなっていた。ウクライナ軍は6か月ごとに最大10日間の休暇を取ることが認められているが、休暇を取ってそのまま戻ってこない者も多いとされる。更に、軍は慢性的な人員不足が続いているため、こうした義務的休暇が遅れたり短縮されたりすることが多い、前線の兵士は満足に休暇が取れない状況が続いている。

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第47機械化旅団は15か月間休みなしで戦闘

実際、ウクライナ軍最強の機械化旅団である第47機械化旅団は15か月間休みなしで戦闘を行った。同旅団は主に志願兵で構成されており、2022年4月に創設。NATOによって訓練を受けた部隊。同旅団には多数の西側製兵器が配備され、レオパルト2A6、M1A1エイブラムスといった主力戦車にM2ブラッドレー歩兵戦闘車を持つ唯一の部隊になる。それゆえ、主要な戦線に度々駆り出され、2023年6月の反転攻勢ではザポリージャ戦線の主力を務め、2023年10月のアウディーイウカ戦線では撤退する部隊を支援。その後は同地域に留まり、防衛線を構築、進軍するロシア軍をくい止めた。同旅団は2023年6月から今年9月まで休みなく戦闘を行っていた。そして、今年9月にようやく15か月振りの休暇を得て、後方にもどった。その間に車両の修理、新兵の補充を行っている。休暇が終わると、同旅団は早速、2024年8月に始まったロシア領クルスク侵攻の増援部隊として駆り出されている。

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ロシアによる軍事侵攻後、ウクライナでは総動員令が出され、18歳から60歳の男性は原則、出国が禁じられている。対象年齢に当てはまるものは徴兵される可能性があるが、実際の徴兵年齢は27歳からだった。しかし、兵力が不足するなかで2024年4月に年齢を25歳に引き下げている。しかし、兵役逃れのために国外に逃れる者は後が絶たないとされる。また、脱走はウクライナの法律で厳しく罰せられ、最高12年の懲役刑が科せられるが、多くの若者は戦場で死ぬよりも投獄された方がましだと考えている。ウクライナ検察庁によると、2022年2月にロシアが侵攻して以来、 10万人以上の兵士がウクライナの脱走法に基づいて起訴されている。現在、ウクライナ軍の人員は105万人とされているが、さらに16万人を動員する計画が立てられている。ゼレンスキー大統領はロシア軍に対抗するには50万人の動員が必要と述べている。

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