アメリカ空軍が保有するC-130Hハーキュリーズ輸送機のほとんどでプロペラハブにヒビが入る現象が見られ、全ての機体をオーバーホールする必要があるため、現在、全機飛行禁止になっています。
米空軍で輸送機や空中給油機の運用を統括する航空機動軍団(AMC)は金曜、C-130Hハーキュリーズ輸送機のプロペラハブにヒビが入る事象を確認し、全ての機体、および派生型の飛行を禁止しました。C-130Hは2022会計年度で128機保有しており、米空軍の調査によるとC-130H輸送機100機、MC-130Hコンバットクロー特殊作戦輸送機8機、EC-130H電子戦航空機7機、および一時運用停止されていたTC-130H訓練機1機でプロペラハブの欠陥が発見されており、保有する機体の9割以上に及びます。欠陥のあるプロペラをすべて交換するのにどれくらいの時間がかかるかは不明です。
この問題を発見したのは、ジョージア州中部のロビンズ空軍基地で米空軍の機体のメンテナンスを担うワーナーロビンス航空ロジスティクスコンプレックス社の整備士になり、C-130Hの修理を完了した後、エンジンの試運転中にオイル漏れに気付き、確認したところプロペラハブの亀裂から漏れていることをことを確認。他の2つのプロペラでも同様の事象を確認しました。同じような欠陥は2019年2月にも見つかっており、1971 年より前に製造された機体でプロペラに亀裂が発生。この時は60機のプロペラを交換しています。
C-130Hとは
C-130はロッキード社が1954年に開発した中型輸送機で、1956年に米空軍で運用が始まった機体です。未整地での運用を念頭に設計されており機体設計はシンプルで頑丈、短距離離着陸性能を擁し800mの未整地滑走路で離着陸が可能と「世界最高の輸送機」と呼ばれ、60年以上にわたって運用されています。C-130Hはその改良型で1975年から米空軍で運用、C-130シリーズでは最も多く生産され、その数は1,087機にも及び、海外にも輸出されています。現在、米空軍のC-130は1999年に導入されたC-130Jスーパー・ハーキュリーズが主になり、プロペラはC-130Hの4枚翼からC-130Jでは8枚翼に代わっており、こちらのプロペラは問題なく、米空軍の運用に大きく影響する問題ではありません。影響があるのは予備役部隊と空軍州兵と限定的です。しかし、C-130Hは航空自衛隊も所有しており1984年に同機を導入、これまで完成した機体を輸入する形で16機を購入、現在も運用されています。こちらにも影響があるかは不明です。
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