射程60m、ドイツの対戦車ロケット地雷DM-12 PARM

射程60m、ドイツの対戦車ロケット地雷DM-12 PARM

対戦車地雷は通常、地上に埋設され、その上を戦車が通ると、圧力によって起爆して、戦車の脆い部分である車底を破壊、または無限軌道を破壊し、走行不能にさせます。他にも赤外線や磁気式のものもありますが、基本的には地上に埋設して、上、もしく直ぐ傍らを車両が通ることで起爆します。しかし、ドイツの対戦車地雷である”DM-12 PARM”はちょっと仕組みが異なります。地雷なのにロケット弾で側面の装甲を破壊します。

DM-12 PARMはドイツの軍需企業Messerschmitt-Bölkow-Blohm(MBB)によって1980年代に開発された対戦車地雷です。1983年から1988年にかけてテストが行われ、同年に使用が許可され、その後、1991年にドイツ連邦軍に採用されます。その後、製造はダイムラー・ベンツに変わるも、地雷という兵器もあって、世論の反発にあい1998年に製造は中止されます。しかし、既に配備されたものは廃棄されることはなく、20年以上に渡ってドイツ軍によって運用されています。そういった経緯もあり、PARMはあまり表にでることはありませんでしたが、対戦車兵器の需要が高まる今、注目を集めています。

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初期モデル PARM1

Photo Bundeswehr

PARMには一般的な地雷には見受けられない三脚が付いており、上部はランチャーとロケット弾頭によって構成されたミニロケットランチャーのような見た目しています。しかし、人によって操作するのではなく、戦車のルート上の路肩に設置して、付近を走行する戦車を自動検知して攻撃する”地雷”に種別される兵器です。埋設型地雷と違って、高さが39cmあるため、設置する際は茂みや草木で覆って隠す必要があります。PARMは車両検知しても起爆するのではなく、ロケット弾を発射します。検知する方法はケーブルです。PARMには約40mのケーブルがつながっており、そのケーブルを車両が通ると思われる路上に設置。ケーブルの上を車両が通るとそれを検知して、ロケット弾を発射します。検出範囲はケーブルの長さ(40m)と一緒で一般的な地雷よりも広くになりますが、範囲はワイヤーの直線状に限定されます。弾頭自体の飛力は500mあるので、外れると500m彼方に飛来してしまうのでワイヤーを敷く位置とランチャーの方向はしっかり一致される必要があります。また、その性質上。PARMは車両の側面を攻撃することになります。弾頭には対戦車榴弾が搭載され、検知と同時に信管がセットされます。使い勝手が悪そうに見えますが、アスファルトや整地された道路でも地雷が設置できるのが強みです。

下の動画はPARMではありませんが、同様の仕組みでアメリカで開発製造されたM24地雷の映像です。車両が路上のケーブルの上を通ると路肩に設置されていたM24からロケットが射出され車両の側面を攻撃します。

ランチャーに弾頭を再装填することで何度でも使用可能です。

赤外線に対応したPARM2

パッシブ赤外線センサーを搭載した改良版のPARM2が開発されます。これにより面倒なワイヤーから解放され、検出範囲も60mに拡大しました。PARM2には音響センサーが搭載されており、戦車や大型車両のエンジン音を捉えるとアクティブになります。それ以外の時は消費電力を抑えるため、スタンバイモードになっており、その状態で最大40日間稼働が可能です。さらにセンサーシステムは車両の識別が可能で、通過何台目、または特定の車種を識別して車列の中から狙ったターゲットのみを攻撃するといったことも可能です。

高度な機能を持つPARM2ですが、今のところ、ドイツ軍、その他の軍でも採用実績はありません。現在、PARMはヨーロッパの多国籍軍需企業であるMBDAのドイツのグループ会社であるTDWが権利を持っているようで、ロンドンで開催された防衛展示会DSEI2021でTDWがPARMを展示しています。今後の需要次第で再生産、開発が始まるかもしれません。

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Source
https://soldat-und-technik.de/2021/09/bewaffnung/28582/dsei-internationales-interesse-an-dem-panzerabwehrsystem-parm/

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