ペルー、韓国のK2戦車購入!KF-21戦闘機の共同開発など防衛協定を締結

ペルー、韓国のK2戦車購入!KF-21戦闘機の共同開発など防衛協定を締結
NATO

南米のペルーが韓国と戦略的防衛包括協定を締結。それに伴い、ペルーは韓国のK2ブラックパンサー主力戦車の購入と韓国が現在開発中の次世代戦闘機KF-21ボラメの共同開発を行う事などが決定した。

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ペルーで開かれていたAPECの首脳会議に関連し11月16日、ペルーのディナ・ボルアルテ大統領と韓国の尹錫悦大統領による首脳会談が行われ、両首脳は防衛産業、チリが持つ豊富な鉱物資源のサプライチェーンの強化に向けた両国間の協力で一致、戦略的防衛包括協定の覚書に署名した。この一環として、ぺルーは韓国の現代ロテム社が開発生産するK2ブラックパンサー主力戦車の購入。韓国航空宇宙産業(KAI)とペルーの国営航空会社SEMANの間ではKAIが開発を進める次世代戦闘機KF-21ボラメの共同開発。HD現代重工業とペルーの国営SIMA造船所と潜水艦の共同開発を行う覚書に署名している。現代ロテムはまた、地上装備に関する協力を強化するため、ペルー陸軍武器弾薬工場(FAME)と包括的協力協定を締結した。

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K2の輸出はポーランドに次ぎ二か国目

K2ブラックパンサーのペルーへの輸出はポーランドに次いで二か国目になる。ペルー陸軍の現在の主力戦車は戦後ソ連で開発された160両のT-55戦車になり、ようやく、この旧式モデルと決別する決定を下した形だ。K2ブラックパンサー主力戦車は韓国防衛庁と現代ロテムによって2008年に開発、2014年より韓国軍に配備されている。M1エイブラムスを改造した韓国のK1戦車の系譜を継ぐ戦車だが、エイブラムス、レオパルド2、ルクレールなど戦車の優れた点を採用しながら、重量は55トンで欧米の主力戦車よりも5~10トン軽く、革新的とは言えないまでも既存の戦車の長所を兼ね備え、機動性に優れている。主砲にはNATO標準の120mm滑腔砲を採用し、強力な火力を確保、自動装填装置を採用し、車長、砲手、操縦手の3人で運用が可能。7.62mm同軸機銃、砲塔には遠隔操作ステーションに対応した12.7mm重機関銃がある。最高速度は整地で70km/h以上、オフロードで48km/h、水深4m以上の河川を渡ることができる。また、油気圧懸垂装置を装着し、朝鮮半島の険しい地形でも、車体の姿勢と高低を自由に調整して射撃角度を確保することができるなど、多目的な能力を備えている。ペルーにはアンデス山脈の険しい山岳地帯があり、K2はペルーの環境に適合する。

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2022年7月にポーランドが1000両のK2の購入を決定し、初の輸出国となった。韓国はポーランドとの契約を実現するため、技術供与、現地生産も認めた。1000両の内、韓国から輸出するのは180両のみで、残りの820両は現地生産する。ポーランドで生産されるのはポーランド軍仕様のアップグレード版K2PLになる。また、韓国は動きも早く、最初の5両は2023年6月に納入する予定だったが、それを3か月前倒しして3月に納入。10月までに韓国生産分の180両を完納させている。このような動きもK2の評価が高いところだ。ペルーがいくつK2を購入するのかはまだ明らかにされていないが、現在のT-55の保有数が160両程度と考えると100両以上の購入が推察される。K2の他、K808装輪装甲車30台の輸出も決定している。

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インドネシアとの関係は?KF-21の共同開発

韓国、KF-21戦闘機の量産開始へ!価格は1機あたり110億円だが、第4.5世代としては割安!?
KAI

今回、注視すべきは次期戦闘機KF-21ボラメの共同開発だ。韓国初の国産戦闘機で第4.5世代戦闘機のKF-21ボラメはもともとインドネシアとの共同開発で始まった。開発を主導するのは韓国のKAIだが、総開発費8兆9000億ウォンの内2割、1兆7300億ウォンをインドネシアが負担し、26年6月まで開発分担金を納付する代わりに試作機1機と各種技術資料の移転を受け、戦闘機48機をインドネシアで現地生産する条件になっていた。しかし、2017年に最初の分担金2200億ウォンを納付して以降、経済難を理由に分担金を滞納。分担金は1兆6000億ウォンに減額された。しかし、減額後も納付を度々滞納、インドネシアがこれまで支払った額は3800億ウォンにすぎない。そして、2024年6月には分担金の負担を当初の3分の1、約6000億ウォンに減らして欲しいと要求。この要求を飲めば、韓国側は足りない1兆ウォンを自分たちで負担しなければならない。インドネシアは経済難といって支払いを拒んでいたが、2022年2月に総額81億ドルでフランスのラファール戦闘機38機の購入を決定。これは1兆ウォンを遥かに超える金額であり、お金がないわけではない。しかし、韓国側は2024年8月、インドネシアの減額要求をのんだ。その後、減額に伴う価値移転調整および不足財源確保などを審議していた。今回のペルーとの共同開発はインドネシアの負担金を補う事も目的の一つと思われる。現在のペルー空軍の主力戦闘機は11機のミラージュ2000と6機のMig-29になり、どちらも旧式で老朽化していた。

韓国は近年、国際的な兵器市場での存在感を大きくしており、2023年の国別兵器輸出シェアではTop10入りしている。今回のペルーへのK2の輸出とKF-21の共同開発は韓国兵器産業の南米進出の大きな足掛かりになり、更なるシェア拡大につながるかもしれない。

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