2020年に中国人民解放軍(PLA)に正式採用された無人ヘリコプタータイプのUAV「ゴールデンイーグルCR-500(Ch:金雕CR500)」が9月28日に中国南部の広東省珠海で開幕した「第13回中国国際航空宇宙展示会」で公開されました。
CR500は中国最大の国営軍需企業”中国兵器工業集団(NORINKO)”が開発製造するUAVで2016年の朱海国際航空ショーで初登場し、2020年末にPLAに正式納入され、翌年9月に行われた陸軍第73集団軍の水陸両用戦闘海上訓練演習に初登場しました。既に、アラブ首長国(UAE)に輸出されるなど、海外への販売も始まっています。
🇨🇳⚡️Promotional video of the new Chinese reconnaissance and attack unmanned aerial vehicle of helicopter type Golden Eagle CR500 developed by the Research Institute of Computer Applied Technologies of the foreign trade production company Ordnance Industry Group#China #Military pic.twitter.com/u10FjVBDDn
— Military Rage X (@MilitaryRage) November 15, 2021
CR500は同軸反転デュアルローター式を採用しており、これによりテールローターが無い”ノー・テールローター”という設計を実現しています。テール部分が無くなったことで胴体が短く、風の影響を受けにくくなっており、強風下でも安定した飛行、ホバリングを実現しています。また、推進力も高く、同サイズのUAVも多いペイロード能力を有するのも特徴です。飛行時間は最大5時間、最大高度3,000メートルを飛行する中型UAVです。
火力は攻撃ヘリに相当
CR500には昼夜カメラ、赤外線熱画像暗視システム、レーザー距離計およびレーザー誘導システムが搭載されており、偵察、監視、通信リレー、戦闘ダメージ評価といった任務をこなします。しかし、CR500に期待されているのは、そのペイロード能力を活かした攻撃UAVとしてです。CR500には射程4km、1100mmの装甲を貫通する対戦車ミサイルのレッドアロー12(红箭-12)、射程7kmの空対地ミサイルのブルーソード9(蓝箭-9)といった対地ミサイル、他に迫撃砲弾などを最大8発搭載することができます。これはつまり、同ミサイルを搭載するPLAの攻撃ヘリコプターZhi-10、Zhi-19の火力に匹敵します。そして、CR500はこの2つのヘリよりもコストが安く、撃墜されても人的被害を出さないというメリットがあります。またボディがコンパクトなため、艦や車両への搭載が容易で運用する上で場所を選ばないなど運用効率が高いUAVです。風にも強い設計は海上での運用にも適しており、艦載UAVとして海軍での導入も検討されています。強襲揚陸艦や空母であれ数十機の搭載が可能であり、それは非常に脅威です。