CUSV|米海軍が開発する無人巡視掃海艇

CUSV|米海軍が開発する無人巡視艇
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空、地上では既に多くのドローン・ロボットといった無人兵器が登場しているが、海上においても無人兵器の開発は進んでいる。アメリカ海軍では無人の巡視掃海艇CUSV(Common Unmanned Surface Vessel)の開発を行っている。

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CUSVとは

CUSVはTextron(テキストロン)社が開発した小型の無人巡視艇。 2014年10月にはテキストロン社が無人影響掃海システム(UISS)プログラム用のCUSV開発の契約を米海軍から3380万ドルで獲得する。この契約でテキストロンは30カ月間のエンジニアリング、製造、開発(EMD)フェーズで、UISSとその共通の指揮統制ソフトウェアの設計、開発、認定を行っている。

CUSVの性能

CUSVはフリーダム&インディペンデンス級といった大型の沿海域戦闘艦から展開し、 雷戦、対潜水艦戦、通信中継、情報、監視・偵察(ISR)、対地上戦、UAS(空中ドローン)/UUV(自律無人潜水機)発射・回収作戦などの一連の任務を遂行することができる。

全長は39フィート(12m)で、最大速度は35ノット(65km/h)。航行距離は140㎞、24時間の任務能力がある。1800kg以上を曳航しながら、20時間以上、海上航行することができ、高度な推進システムは荒れた海でも問題ない。遠隔操作や自律航行が可能で、緊急時には人が乗り込んで操舵することもできる。

CUSVはモジュール式で、さまざまな役割に対応できる。標準武装の50口径機関銃に電気光学カメラ、拡声器が搭載されている。サイドスキャンソナー、機雷掃海、非致死兵器、インテリジェンス、監視および偵察(ISR)センサーを含む複数のペイロードも搭載できる。個々のCUSVは、設定されたエリアのパトロールを自律的に実行する能力を持っている。不審船を見つけた場合は遠隔で状況を監視する人間によって拡声器によって警告を行い、従わない場合は武器を発射することができる。 ちなみに遠隔操作を行うコントローラーはプレイステーション4のコントローラーになる。

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なぜCUSVが必要なのか

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海軍の主役というと空母やイージス艦という大型艦のイメージが強いと思う。広い海をレーダーで監視し、航空戦力やミサイルなど圧倒的な攻撃力で洋上から長距離攻撃を行う。洋上では無類の強さを誇るこれらの大型艦だが、停泊している時や高速小型ボートに実は弱い。そもそもテロリストは洋上に展開できるような大型の船は持っておらず、小型の高速艇を使用するケースが多い。そのため船舶を攻撃する時は近海の沿岸地域に停泊、航行している船をターゲットにする。実際、2000年10月にイエメンのアデン湾で起きた駆逐艦コールの襲撃事件では停泊中のコールに小型ボートが体当たりの自爆攻撃を行い57名が死傷した。2019年にはホルムズ海峡の近海で日本のタンカーが水雷攻撃を受けたが、小型ボートが接近してタンカー側面に接着されたと言われている。 大型艦は接近する小型艇に対しては非常に脆弱だ。

これらを監視、対処するには大型艦ではなく小型艦が求められる。かといって多くの小型艇を展開するには人材の育成と確保が必要になり、搭乗員は危険に晒される。そこで無人の小型戦闘艇CUSVになる。CUSVではあれば24時間休みなく、港湾海域を警戒対処することが可能になる。どんな荒れた海でも船酔いすることもない。

この考えは中国も持っており、中国でも 無人武装小型船(JARI-USV)の開発を行っており2019年より海上テストを行っている。

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JARI-USV

四方を海に囲まれる日本。中国の海洋進出や海外の漁船の違法漁業に頭を悩ましている。しかし、この広い海域を全てをカバーするための船も人員も足りていない状況である。日本こそCUSVが必要なのではないだろうか。

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https://www.textronsystems.com/products/cusv
https://www.navalnews.com/naval-news/2020/02/textron-systems-common-unmanned-surface-vehicle-cusv-achieves-milestone-c/

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