海上保安庁が採用する偵察監視ドローン「MQ-9Bシー・ガーディアン」

海上保安庁が採用する偵察監視ドローン「MQ-9Bシー・ガーディアン」
Photo General Atomics ASI

海上保安庁は海洋監視強化を目的に2022年の導入予定の大型無人航空機にアメリカのジェネラル・ダイナミクス社が開発製造する「MQ-9B SeaGuardian(シー・ガーディアン)」を採用しました。導入費用は約40億円で複数機を調達。青森県八戸市の八戸飛行場を拠点に今年10月から運用が始まる予定です。

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海洋監視に特化したリーパーシリーズのUAV

MQ-9Bはジェネラル・ダイナミクス社が開発し、米空軍にも採用され、実績もあるMQ-9リーパーシリーズのUAVであり、海洋監視、沿岸警備に特化したUAVです。海上保安庁の日本近海の海洋秩序の維持、捜索救助、災害対応といった高度なミッションを支援する機能を備えています。

スペック

Photo General Atomics ASI

全長11.7、翼幅24m、最大速度は390km/h、最高飛行高度は40,000フィート(12,000m)、連続飛行時間は40時間。一度飛び立てば日本のEEZ(排他的経済水域)の外周を1周できる航続距離を有しています。操縦は衛星通信を介するため、遠隔操作の場所は選びません。

センサー類には逆合成開口レーダー(ISAR)イメージングモード、自動識別システム(AIS)、高解像度の光学および赤外線カメラ、およびフルモーションビデオセンサーを備えたマルチモード海面検索レーダーを搭載。数千平方海里を超える海上の水上艦をリアルタイムに検出、識別し、昼夜関係なく、悪天候下でも上空から海洋の偵察監視を可能にします。得られるデータはデータリンクを介して自衛隊などとリアルタイムに共有することも可能ですが、既に導入している台湾軍が新たにデータリンク機器をアメリカに要求していることから、この機能は別途、必要なるようで、おそらく今回の海上保安庁の調達には含まれていないと思われます。その他、不審船などに音声による警告を行うこともできます。

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内部には363kg、外部にはボディに一つ、翼に8つのハードポイントによる1,814kgのペイロード能力を備えており、高度にモジュール化された機体はミッションに応じた装備を搭載することができます。対艦兵器や対潜水艦戦用の装備を搭載することもできますが、海上保安庁ではこれらの武装は搭載しないでしょう。

MQ-9Bは構造疲労や損傷耐性の向上、より堅牢な飛行制御ソフトウェアなど、ハードウェアとソフトウェアの両方のアップグレードが含まれているほか、防氷など悪天候での運用を可能にする拡張機能も含まれています。さらに、この航空機は鳥や落雷にも耐えられるように設計されるなど、全天候型互換性とNATOのUAV耐空性基準であるSTANAG-4671をクリアしています。

海保のMQ-9Bはリース契約?

海上保安庁は2020年から実証実験を繰り返し、今回の採用に至りましたが、操縦は海保が行うのではなく外部委託になり、海保は得られたデータの情報分析だけを行うようです。MQ-9Bの1機あたりのユニットコストは約1億ドル(100億)と高額で、40億円の予算では1機も購入できません。今回3年契約とのことなので、これはおそらくGeneralAtomicsASI社とのリース契約になり、操縦も同社の行うものと思われます。

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https://www.ga-asi.com/remotely-piloted-aircraft/mq-9b

https://www.ga-asi.com/ga-asi-selected-for-japan-coast-guard-rpas-project

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