英空軍、十字軍由来の飛行隊の名称「クルセイダーズ」を廃止

英空軍、十字軍由来の飛行隊の名称「クルセイダーズ」を廃止
RAF

イギリス空軍(RAF)は1915年に創設された第14飛行隊のニックネーム「Crusaders(クルセイダーズ)」を廃止する事を決定した。同名称はスペイン語で「十字架をつけた集団」を意味し、総じて11世紀から13世紀にかけてエルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍「十字軍」を意味する言葉として使われている。

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イギリスBBCの報道によれば、RAFの第14飛行隊は苦情を受けて長年使用されてきた非公式ニックネーム「クルセイダーズ」を廃止することを決めた。飛行隊の隊員は総じてこの名前の維持を支持したが、軍内外からの苦情もあり、RAFは廃止を決定。軍の広報担当者は廃止する理由として「イギリス空軍が創設当初に使用していた伝統や非公式の愛称は歴史に残るものだが、21世紀にはもはや適切ではないものもある」と述べた。十字軍遠征は聖地エルサレムを奪還する目的のもと11世紀に始まった遠征軍。しかし、約200年に渡る戦いで、徐々に遠征軍の目的意識は薄れ、私利私欲、蛮行に走るなど、十字軍はイスラム教徒からは侵略者、イスラム教を侮辱するものとしてとらえられている。

ニュージーランド南部クライストチャーチのラグビーチーム「クルセイダーズ」は2019年に同都市のモスクで起きた銃乱射事件を受けて、チーム名の変更を検討。結果、チーム名自体は残すもロゴの一部を削除した。2022年にカタールで開かれたサッカーワールドカップではイングランドサポーターがスタジアム内外で十字軍のコスプレをして応援。中東という場所もあり、これが物議を醸し、着用が禁止された。

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イギリス空軍第14飛行隊

RAFの第14飛行隊は第一次大戦中の1915年に創設された伝統ある部隊。最初の任務地としてエジプト、スエズ運河、パレスチナといった中東に配備された事から、キリスト教の聖地エルサレムをイスラム諸国から奪還するために同地域に遠征した”十字軍”にちなんで「クルセイダーズ」というニックネームがつけられた。当時、スエズ運河はイギリスが管理を担っており、第一次大戦後の1918年にはパレスチナはイギリス委任統治領となっている。第二次大戦でも中東をメインに戦い、近年では1990年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争にも派遣されている。2011年の改編に伴い、トーネード攻撃機の部隊が解散すると。その後は情報監視偵察機のシャドウR1が配備され、同飛行隊は情報監視目標捕捉偵察(ISTAR)が主な任務となっている。

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