ロシア、Tu-160M2戦略爆撃機の量産加速

ロシア、Tu-160M2戦略爆撃機の量産加速
UAC

ロシアの航空機メーカー「ユナイテッド・エアクラフト・コーポレーション(UAC)」は24日、改良型のTu-160M戦略爆撃機の生産のための3つの工場の近代化を完了した事を発表した。

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ツポレフとカザン航空機工場を所有するUACは、試作、機械組立、飛行試験センターのラインの近代化が完了したと発表した。これにより、Tu-160M戦略爆撃機の量産は加速することになる。Tu-160は1980年代後半から量産が開始され、1995年に生産を終えたが、2014年にウクライナのクリミアに侵攻し、西側との緊張が高まる中、プーチン大統領は2015年に改良型のTu-160Mの生産再開を命じた。そのため、2016年以降、Tu-160の近代化改修を行っていたカザン工場の約4分の3にあたる10カ所の施設を近代化する約300億ルーブル相当の工事を遂行してきた。2018年1月には10機のTu-160Mを2027年までに納入する契約を1600億ルーブルで締結している。近代化工事は2020年に完了する予定だったが、カザンの下請け業者が詐欺や横領の罪で数十件の刑事訴訟を起こされ、工事は遅延。この度、ようやく工事が完了した形だ。

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ただ、その間も生産は行われており、2023年1月に2機のTu-160Mがロシア軍に試験のために納入されている。その内、1機は約20年ぶりに完全にゼロから建造された機体になる。新しいTu-160は通称Tu-160M2と呼ばれており、新しい航空電子機器、グラスコックピット、通信および制御システム、より強力で効率的な新しいエンジンが搭載される。新しいNK-32Mエンジンは飛行距離が1000km延長されるとされ、作戦範囲が広がる。また、飛来するミサイルから身を守る新しい防御システムも備えている。

ロシア航空宇宙軍は最終的には50機の新造Tu-160M2を購入する予定で、現在配備中の既存の16機も近代化改修する予定だ。量産計画は年間3機ペースになり、最初の10機は2027年までに完納される予定だ。

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Tu-160

mod russia

Tu-160はソ連時代の1980年代にツポレフ設計局が開発した可変翼超音速戦略爆撃機。ロシア語では「白鳥」を意味する「ベールイ・レーベチ」と呼ばれ、NATOのコードネームでは対照的な「ブラックジャック」と呼ばれ、1987年からロシア航空宇宙軍で運用されている。Tu-160はTu-95MS、Tu-22M3と並ぶ主要爆撃機だが、3つの中でも最も新しく、最高速度はマッハ2.05(約2200 km/h)に達し、航続距離は15,000 km以上。兵器搭載量は最大で45トンにも及ぶ。飛行性能は同じアメリカの可変翼超音速戦略爆撃機であるB-1Bを上回る。完全なステルス機ではないが、レーダー反射断面積を減少させる設計が施されているが、ステルス性能においてはB-1Bが上回る。戦略爆撃だけでなく偵察任務も遂行できるよう設計されており、高度な電子戦および偵察装備を搭載することで、敵の防空システムを突破しつつ、戦略的な情報収集を行うことも可能だ。

Tu-160はロシアの軍用機の中でも最も高価とされ、今回の最新改良モデルはTu-160M2と呼ばれているが、その1機あたりの価格は150億ルーブル、日本円で270億円以上だ。

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