F-117ステルス機が復帰か?退役した機体は2034年まで飛行延長される

F-117ステルス機が復帰か?退役した機体は2034年まで飛行延長される
USAF

昨年12月に新しいステルス戦略爆撃機B-21レイダーを発表し、新たなステップに大きな歩みを進めたばかりの米空軍ですが、初期に開発したステルス機で2008年に全機退役した「F-117ナイトホーク攻撃機」が復帰するのではと噂されています。

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それを裏付けるのが空軍試験センターが最近公開した入札情報です。 昨年9月に公開されたRFIによるとF-117Aの長期保存と非武装化して博物館への移動の他に飛行能力とステルス性を維持するための保守およびロジスティクスサポートサービスに関する2024年から10年間の契約を求めており、少なくとも一部の機体を2034年まで飛ばし続けることを望んでいます。

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F-117ナイトホーク

USAF

F-117はアメリカのロッキード社によって1980年代に地上目標に対して攻撃を実行するように開発された対地攻撃機で、世界初の実戦的なステルス機になります。米空軍では1983年から運用が始まり、計64機が生産されます。ボディは現在のステルス機に見られる流線形ではなく、レーダーに捕えられにくい平面で多面的な設計になっています。この設計は空気力学的に不安定な設計なのですが、フライ・バイ・ワイヤを採用し、手動操作から電子操作にし、コンピューターによる飛行制御を行うことで飛行を安定化しています。

初めて軍事作戦に参加したのは1989年のパナマ侵攻で6機が参加。F-117がステルス機として効果を発揮したのが1991年の湾岸戦争で44機が参加、計1271回出撃するも、1機も撃墜されることはありませんでした。しかし、1999年のユーゴスラビア紛争に伴うコソボ空爆の際は、ユーゴスラビア軍に検知され、防空ミサイルによって1機が撃墜され、残骸の一部は中国に渡ったとされています。その他、1機が1997年の航空ショーでの墜落事故で失っています。

1997年にステルス戦略爆撃機のB-2スピリッツ、2005年にステルス戦闘機のF-22ラプターの運用が始まると、F-117の存在感は薄れ、高額な一時運用費も相まって2008年には全機退役します。機体はモスボール保管され、一部が博物館に残りは順次、廃棄される予定でした。

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対ステルス機演習に利用されるF-117

2014年頃から退役していた筈のF-117がネバダ州で見慣れない機体マークをペイントして飛行する様子が目撃されます。米空軍は2021年にようやく同機が研究や訓練のために使用していることを公式に認めます。ロシアがSu-57、中国がJ-20といった第5世代ステルス戦闘機を開発。更に巡航ミサイルのステルス化が進む中で、ステルス機、低検知飛行体に対する演習の重要性が高まっています。F-117が持つステルス性はまさにうってつけであり、同機はこれら演習で主に敵機役、いわゆるアグレッサー部隊として使用されるとされ、今回の飛行延長の入札もそれに伴う対応です。

これまで最初に製造された4機のYF-117Aとセルビア上空で撃墜されたF-117の残骸を含む5機が博物館に寄贈されています。その他、1機が墜落、1機が退役後に廃棄されていますが、まだ50機以上が保管されているとされます。これらの内、何機が飛行延長されるのかは不明です。

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The U.S. Air Force is looking for suppliers of maintenance and logistic support to continue flight operations of the Nighthawk for 10 years.

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