ロシア空挺軍司令官インタビューで8500人の負傷を認めるも、露国防省が削除

ロシア空挺軍司令官インタビューで8500人の負傷を認めるも、露国防省が削除
写真 ロシア国防省

昨年2月のウクライナ侵攻以来、1年半でロシア空挺軍は少なくとも8,500人が負傷したと司令官が水曜日に発表した。しかし、その情報は直ぐに削除された。

sponser

モスクワタイムの報道によればロシア空挺軍を指揮するミハイル・テプリンスキー司令官が空挺部隊創設93周年を記念した8月2日水曜の「空挺部隊の日」を祝うビデオメッセージで部隊の負傷者数を明らかにした。メッセージの中で司令官は「5,000人以上の空挺部隊員が治療後、前線に戻り、3,500人以上の負傷兵は前線から離れることを拒否した」と語り、空挺兵は強靭だと称えた。このビデオメッセージは水曜早朝、ロシア国防省が運営する放送局ズベズダによって公開され、SNSにも投稿された。しかし、この動画は僅か数時間後に削除された。どうやら、具体的な負傷者の数字を出すことがまずかったようだ。司令官は死者数に関しては言及しなかったが、ロシア国防省は2022年9月に5,937人の兵士が戦死したことを発表して以降、戦死者の数は発表していない。

クレムリンとロシア国防省は国民の反発、厭戦気分を恐れてか、ウクライナでのロシア軍の損害を基本的に発表していない。したとしても事実とことなる事が多い。ロシア軍の損害を推測されるような数字が公開されるのはまずかったのかもしれない。

sponser

司令官の言葉を鵜呑みにするのであれば、少なくとも8,500人が復帰可能な負傷を負ったことになる。対した損害ではないと思うかもしれないが、これはあくまで軽傷の数だ。ウクライナ侵攻前のロシア空挺軍の総兵力は約4万人とされている。つまり、少なくとも5分の1が負傷した計算だ。部隊規模から考えれば、負傷率は高い。これに死者や戦線復帰できない重傷者がプラスされる。例えば空挺部隊の一つである”第331近衛空挺連隊”は死者、戦闘中行方不明者、捕虜、重傷者を合わせた死傷者が部隊規模2000人に対し、計500名とされ、それだけでも4分の1を失っている。負傷者数はその倍とされ、部隊は壊滅状態したと言われている。

情報アナリストのキリル・ミハイロフ氏は、戦闘による死亡と負傷の比率は通常約1:8であり、これはロシア空挺軍の戦死数は1,000人以上であると述べており、BBCロシアとニュースサイト”ゾナ”が実施した独立統計によると、7月30日の時点で約1,832人のロシア空挺兵がウクライナで戦死したと分析している。ウクライナ侵攻初日、キーウ近郊のアントノフ国際空港に降下した部隊が全滅、空挺部隊数百人を乗せたIL-76輸送機が墜落するなど、侵攻初期のロシア軍の戦死者の15%が空挺隊員だった。

sponser

ロシア空挺軍とは

ロシア空挺軍とは1930年8月2日に創設されたソ連空挺部隊から続く精鋭部隊。通常、空挺部隊は陸軍に所属していることが多いが、空挺軍というように陸海空軍のどれにも所属していない、空挺部隊として独立した兵科、部隊になる。大統領直轄の迅速介入部隊でもあり、常時5000人が2時間以内に出動できるよう待機している。空挺部隊は敵陣地の後方に降下することから、精鋭とされており、ロシア空挺軍も精鋭部隊の集まりといわれている。

sponser
sponser
ロシア空挺軍司令官インタビューで8500人の負傷を認めるも、露国防省が削除
フォローして最新情報をチェックしよう!