世界最高基準の国防予算を投じながら、前線のロシア軍部隊は物資不足に陥っており、ロシア兵たちは足りない物資を補うために互いの装備を盗みあっているとアメリカ系の非営利メディア「ラジオ・リバティ」が報じました。
ここ数カ月、ウクライナで戦っているロシア軍関係者の親族らの間では、前線で戦う兵士の待遇に不満を抱く者が増えています。その理由として、タチアナと名乗る、ある女性は同メディアのロシア語支局の取材に対し、ウクライナの前線に派兵された兵士である夫の過酷な状況について語りました。前線のロシア兵には軍から満足な物資が支給されておらず、装備が非常に貧弱であり、兵士たちはそれを補うため、互いに衣服やバックパック、カミソリといった日用品などを盗みあっていると語りました。現在、ウクライナは冬を迎えていますが手袋、防寒下着、塹壕を掘るためのシャベル、さらには戦うための弾薬などの基本的な装備も提供されていないと言われています。タチアナの夫は寒さをしのぐ為、家から持参した寝袋に更に遺体袋を重ね中で、そこで寝ています。彼女の夫は家族の暮らしを少しでも良くするために、軍に志願しました。夫が軍で受け取る給料は20万ルーブル以上で、これは民間の給料平均の3倍です。しかし、満足な装備、物資が支給されない状況で夫は給与の半分を自身のための食糧、衣類、装備の購入に費やす必要があります。
しかし、せっかく、用意した装備も物資不足の前線では仲間同士の盗難が頻発。任務中に防寒手袋やバックパック、新しい戦闘服を盗まれる者も。装備ならまだ、ましですが、現金や携帯電話の盗難もあり、携帯を盗まれたものは家族との連絡手段も絶たれます。ロシア兵の装備が不足しているのは2022年9月に最初の動員が始まった時から言われていました。動員兵には満足な装備が支給されなかったため、彼らは身を護るため自費で装備を購入する必要がありました。
動員兵は一定期間任務に就けば、その後、長期間の休暇を得たり、除隊が可能になりますが、それらも当初の約束が守られていないとされています。その間、多くの兵士は死亡または行方不明となります。彼女によると、300人ある部隊が3か月の任務を終えた時、無事だったのは僅か18人だけで、残りは戦死、負傷、または行方不明だったといいます。
彼女を含めたロシア兵の親族はこのような状況に警鐘を鳴らすべきだと考えていますが、当局から罰せられる事を危惧して、慎重になっています。
Source