今年2月にウクライナ軍の新総司令官に任命されたオレクサンドル・シルスキー氏は、金曜日に公開されたインタビューで、ロシア軍の火力がウクライナ軍を6対1の割合で上回り、軍隊と陣地の損失を引き起こしていると言及した。
ウクライナメディアのUkrinformのインタビューに応じたウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官はロシア軍が前線でウクライナ軍の6倍の戦力で上回り、その結果、兵力と陣地の損失を引き起こしていると語った。司令官は「数日前、発射された弾薬の点で敵の優位性は約6対1だった。ウクライナ軍は現在、武器や弾薬をほとんど、あるいはまったく持たずに広大な前線全体で任務を遂行している」と警告し、一部の地域では状況が緊迫していると述べた。
以前からウクライナ軍の砲弾不足は叫ばれており、火力でロシア軍が大きく優位に立っていると報じられていた。また、最近、ロシア軍が多用しているのが1.5トンの質量を誇る新兵器のFAB-1500滑空誘導爆弾になり、ウクライナ軍は手を焼いている。FAB-1500はソビエト時代の古いレーザー誘導爆弾を改修したもので、爆弾に翼キットと誘導装置を追加。航空機から発射されると翼が展開し、爆弾に装着された誘導システムによって目標まで滑空飛行し、爆撃する。アメリカ軍使用し、ウクライナにも提供されているJDAM滑空爆弾と同じ仕組みだ。射程は最大60~70kmと長く、ウクライナ軍の近距離防空ミサイルの射程外から爆撃ができる。この距離で対応できるウクライナの防空ミサイルはアメリカから提供されているパトリオットか、ソ連製のS-300ぐらいで、広大な戦場をカバーできる数はなく、防空ミサイルも不足している状況だ。FAB-1500の平均誤差半径は5mとされ、精度も高い。ミサイルよりも安価で航空優位性を保っているロシア軍は現在、工場フル稼働でFAB-1500の生産を行っているとされ、生産量は倍に。更に大きいFAB-3000の生産を2024年2月から開始している。ロシア軍は今年に入って既に3500発以上の航空爆弾を投下しており、時には1日100回を超えている。
もう少しで大量の砲弾が届く
欧州連合(EU)は春頃にウクライナに100万発の砲弾を供給すると宣言している。その急先鋒が中欧のチョコだ。チェコのパベル大統領は3月7日、各国から資金支援を得て、ウクライナに80万発の弾薬を供給すると明らかにした。国内にある砲弾は勿論、世界各国から砲弾を調達する計画だ。その数は最大150万発に達する可能性がある。そうなれば、ウクライナの直近の砲弾不足は一気に解決する。フォーブスの報道によればウクライナは砲弾の調達見越して、榴弾砲の修理を急いでいる。アメリカを始め190門の供与を受けたM777 155mm榴弾砲については国内での部品生産体制を確立しており、修理のために国外に持ち出す必要がなく、修理のリードタイムがかなり短縮されている。牽引式で自走砲と比べ、砲陣地転換が遅いM777はロシア軍の攻撃を受けるケースが多く、44門が破壊され、38門が損傷と数が半減している。砲弾供与を前に38門の修理を急いでいる。また、夏はにF-16が供与されれば、ロシア軍の航空攻撃を抑制できるかもしれない。