CNNの報道によれば、ロシアはウクライナで鹵獲した米国製の兵器はイランに送られリバースエンジニアリングされています。
#Russian forces capture a large cache of #NATO weapons – sent to ultra nationalist and #NeoNazi #Ukrainian forces in #Lugansk – for NATO’s proxy war against #Russia. Weapons include the US Javelin and British and German anti-tank and anti-aircraft systems. From Sputnik. pic.twitter.com/u34Bx605bY
— tim anderson (@timand2037) May 2, 2022
ロシア・ウクライナ戦争では両軍共にソ連/ロシア製兵器を使用しているため、それら鹵獲した兵器のほとんどは、そのまま自軍に編入、戦力化していますが、ウクライナには西側製の兵器が多数導入されているため、ロシア軍はそれを収集しているとCNNは伝えています。実際、ロシア軍が占領したマリウポリなどで、携行式対戦車ミサイルのジャベリンやNLAW、対空ミサイルのスティンガーが鹵獲されています。重火器ではアメリカのM777 155mm榴弾砲が鹵獲されていることが確認されています。それら、鹵獲した米国兵器はロシアの友好国であるイランに送られているとされます。その目的は”リバースエンジニアリグ”です。
リバースエンジニアリグの実績豊富なイラン
リバースエンジニアリングとは、競合の製品や兵器など分解、解析して、その構造や原理を明らかにし、その技術を模倣して開発・コピーすることです。特にイランは米国製兵器のリバースエンジニアリングの実績が豊富です。かつて親米だったイランは1979年のイラン革命で一転、反米国家になり、アメリカとの関係は途絶えます。しかし、そこで問題になったのが軍の装備です。アメリカ式で揃えていたため、パーツの手配やメンテナンスが受けられなくなります。そこで、イランはリバースエンジニアリングを行い、独自に改修、メンテナンスを行います。その成果はあり、1970年代に導入したF-5タイガーII、F-14トムキャットといった高度な戦闘機も独自に近代化改修を行い今でも運用し続けています。同じく、1970年代に導入した米国製対戦車ミサイルの「BGM-71 TOW」もコピーして「Toophan(トゥーファン)」という名で使用しています。2011年12月にはイラン領空に侵入した当時の米空軍の最新ステルスドローン「RQ-170 Sentinel」をGPS偽装することで着陸され鹵獲。無傷で手に入れた同機をイランはリバースエンジニアリグして国産ドローンの「Shahed-191」を開発しています。
イランはロシアに「Shahed-136」と自爆ドローンなどいくつかの兵器を提供しており、米国製兵器のイランへの提供はこれら軍事支援の対価と思われます。おそらく、イランにはジャベリンやスティンガーといった携行式兵器が送られていると推測されています。もし、対戦車ミサイルのジャベリンのコピーに成功すれば、敵対するイスラエルのメルカバ戦車への強力な対抗手段になります。
Source
https://edition.cnn.com/2023/03/10/politics/russia-iran-ukraine-weapons/index.html